2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンA摂取が腸管免疫バランスを制御する樹状細胞の機能発現に与える影響
Project/Area Number |
23780148
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
中妻 彩 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (30446075)
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Keywords | 食品機能 / 脂質 / アレルギー / 粘膜免疫 / 免疫寛容 / ビタミンA / 樹状細胞 / T細胞 |
Research Abstract |
ビタミンA代謝産物であるレチノイン酸は腸管指向性リンパ球、Foxp3陽性誘導型制御性T細胞、IgA抗体産生細胞の分化誘導に寄与し、腸管免疫システムの恒常性維持に重要な役割を担っている。しかし、本研究において、ビタミンA欠乏マウスでは、腸間膜リンパ節樹状細胞(MLN-DC)による炎症性T細胞の分化誘導が亢進していることを見出した。特に、この炎症性T細胞はIL-13とTNF-αの産生能が顕著に高く、食物アレルギーや炎症性腸疾患などの発症や増悪をもたらす可能性が考えられる。そこで、H24年度はビタミンA欠乏による経口免疫寛容誘導能への影響を評価した。そして、ビタミンA欠乏下で炎症誘導型MLN-DCの誘導に関わる腸環境因子の探索を行った。 1、ビタミンA欠乏マウスでは、経口投与した抗原に対するIgG1、IgAおよびIgE抗体産生が著しく亢進し、経口免疫寛容が破綻していた。 2、IL-13遺伝子欠損マウスでは、ビタミンA欠乏による経口抗原に対する抗体産生の亢進が見られなかった。 3、ビタミンA欠乏マウスの腸組織の免疫組織染色を行ったところ、上皮細胞が産生し、アレルギーとの関係が注目されているTSLPやIL-33の発現パターンは、正常マウスと違いが見られなかった。しかし、近位結腸上皮細胞のTNF-α発現がビタミンA欠乏マウスでは亢進しており、real-time PCRによるTNF-α mRNA解析においても、正常マウスと有意な差が認められた。 上皮細胞はDCの機能分化に影響を与える最も重要な細胞の一つであり、炎症誘導型MLN-DCの分化誘導メカニズムと、腸上皮細胞の機能変化との関係については、今後の検討課題である。腸型の制御性DCの分化制御機構の解明は、腸免疫学的疾患の予防、治療に有用な機能性食品や医薬品などの技術開発や、DC療法の応用へと大きく発展することが期待される。
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