2014 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の適応能力を逆手にとる:適合溶質の取込み機構を活用した安全・高品質な食品製造
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23780150
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小関 成樹 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70414498)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 適合溶質 / ストレス応答 / アミノ酸 / Dトリプトファン |
Outline of Annual Research Achievements |
グリシンベタインやプロリンなどが適合溶質として取り込まれることから,各種のアミノ酸を対象として,3種類の食中毒細菌(Listeria monocytogenes, Salmonella enterica, Echerichia coli O157:H7)に対する増殖抑制効果を網羅的に検討した。食塩の添加による浸透圧ストレスを負荷することで,適合溶質あるいは非適合溶質の取込みを促進させることで,細菌の増殖抑制効果を明らかにした。その結果,全ての菌種に対して,D体のトリプトファンが顕著な増殖抑制効果を示すことを明らかにした。 D-トリプトファン(40 mM)は食塩添加による浸透圧ストレスの負荷によって,いずれの細菌に対しても増殖抑制効果を示した。特に,グラム陰性菌であるE. coli O157:H7とSalmonellaに対しては,食塩濃度の上昇に伴い,増殖の遅れが認められるようになり,食塩濃度3%以上の条件下では,完全に増殖を抑制することが明らかとなった。 一方,グラム陽性菌である L. monocytogenes では食塩濃度の増加に伴う,明らかな増殖の遅れは認められなかった。逆に食塩無添加(NaCl 0%)環境下で最も増殖が遅れることが示された。 このように菌種によって,増殖抑制効果に違いが認められた原因は,グラム陽性/陰性の違い,すなわち細胞の膜構造の違いによって,適合溶質あるいは非適合溶質の取込み機構が異なることが原因であると考えられる。したがって,本研究結果から,D-トリプトファン添加による細菌増殖抑制は,主にグラム陰性菌に対して高い効果を発揮するものと考えられる。
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Research Products
(1 results)