2011 Fiscal Year Research-status Report
山地斜面における地下水流出に伴う土砂流出の実態と斜面崩壊に及ぼす影響
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23780163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 将光 京都大学, 極端気象適応社会教育ユニット, 助教 (60511508)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 斜面崩壊 / 高密度観測 / トレーサ / 選択的流出経路 / 安定解析 |
Research Abstract |
山地斜面における地下水流出に伴う土砂流出の実態の把握およびそれらが表層崩壊に与える影響を評価するために観測を行った。高密度観測網を用いた野外水文・水質観測を用いることによって,降雨時の詳細な観測データを計測した。間隙水圧の観測結果から,大規模な降雨時には局所的に基岩から土層へ向けての上向きフラックスが生じている地点が存在していることが示された。また,基岩地下水の水温と土層の地温の温度差の大きい夏季において,地温・水温をトレーサとして斜面内の水移動経路の把握を行った。この結果,間隙水圧が上向きフラックスを示す地点では,基岩からの低温の地下水が湧出していることが示された。また,基岩内に掘削されたボーリング孔の地下水位の変動から,これらの局所的な基岩地下水の湧出は大規模降雨において基岩地下水の水位が地表面付近にまで達しているときに発生していることが分かった。大規模な降雨時において,基岩から土層に向けた基岩地下水の湧出が斜面の不安定化の要因になっていると考えられる。一方,降雨の規模が大きくなるほど土砂流出量は多くなる傾向を示したが,斜面内の水の選択的流出経路の変化は明瞭に認められず,観測斜面は比較的均質な水の流動形態であることが明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に基づく野外観測が追行され,良好なデータが得られ,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に基づく野外観測を継続する。また,詳細な地下水流動過程,土砂の移動現象や選択的流出経路(水みち)の変化(閉塞,消失,発生)を加味した斜面安定解析モデルを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計上していた研究費のうち,既有の設備備品で賄えたため,研究計画の変更を行った。次年度,観測装置の増設を行う予定であり,この増設に伴う備品・設備品の購入において使用する計画である。
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