2011 Fiscal Year Research-status Report
葉の被食防御物質を介した植物と植食性昆虫の相互作用ネットワークの解明
Project/Area Number |
23780167
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 明子 首都大学東京, 理工学研究科, 研究員 (60568236)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生物間相互作用 / 被食防御 / 植食性昆虫 / 誘導防御 / 相互作用ネットワーク |
Research Abstract |
植食性昆虫の摂食による葉の防御レベルの変化を測定するため、本研究では、測定対象である葉をサンプリングせずに、樹上で生きたままの状態で成分測定を行う手法を近赤外分光法により確立する。そこで、フィールドで使用可能なポータブル近赤外分光光度計を購入し、葉の測定に適したサンプルの測定条件を検討した。近赤外分光法を用いた非破壊測定では、まず対象から得られたスペクトル(波長ごとに得られる吸光度の集合体)と実際の化学成分値の間で検量モデルを作成する必要がある。検量モデルの精度は得られたスペクトルに大きく左右され、ノイズの少ない優良なスペクトルを得るためには適切な測定条件の選択が不可欠である。検討の結果、インタラクタンス法を用い、プローブ(光源と検出器が一体化)を対象である葉から5mm離した状態で100ms露光・測定し、10回平均値をとるという測定条件が適切であると判断した。測定時の温度条件については、現在摂氏25度で測定を行っているが、野外での測定を考慮し、5~35度での測定が可能なように、スペクトル測定時に様々な温度での測定値を検量モデルに取り込む必要がある。植食者を用いた摂食実験を円滑に進めるために、予備実験を行い、植食者の成長量、糞の回収、摂食面積の測定法などの項目について実験の段取りの確認を行った。また、野外でのコナラ・シラカシの植食者相を調べるために、ビーティングネットにより植食者を回収し、植食者の液浸標本の作製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の遂行にはフィールド測定用分光器の購入が不可欠だが、当初予定していた機器の販売元が倒産、買収され、当該機器の購入ができなくなったため、進捗が遅れている。分光器使用時には数回に亘る製造者による機器のカスタマイズが不可欠であるため、日本国内の販売元からの購入が望ましいが、予算内で購入可能かつ十分な精度を持つ機器は限られ、機器選定に多くの時間を要した。また、学内での高額備品購入手続きに予定外の時間を要したことも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は平成23年度に検量モデルを得る予定だったが、フィールド測定用分光システムの購入が遅れたので平成24年度に行う。また、植食者を用いた摂食実験については、検量モデルの完成を待たずに実験を進める。検量モデル完成後に測定しておいたスペクトルから成分値を推定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた以上にフィールド測定用分光システムに予算を執行したため、検量モデル作成時のサンプル数を減らす、もしくは測定対象とする化学成分を絞ることで、化学分析のための費用を抑え、研究を遂行していく予定である。
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