2012 Fiscal Year Research-status Report
葉の被食防御物質を介した植物と植食性昆虫の相互作用ネットワークの解明
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23780167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 明子 京都大学, 野生動物研究センター, 研究員 (60568236)
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Keywords | 非破壊成分分析 / 近赤外分光法(NIRS) / 被食防御物質 / 二次代謝物質 / 植食性昆虫 / 採食 / 誘導防御 |
Research Abstract |
植食者の摂食による葉の化学形質の変化を明らかにするため、ブナ科樹種の葉の化学成分定量を近赤外分光法により非破壊的に行う手法の開発を行った。当初の計画ではコナラ、シラカシの2種を対象としていたが、さらにマテバシイ、アラカシ、スダジイの3種を加え、解析を試みた。 平成23年度に購入したスペクトラコープ社製の分光器field λを用い、各樹種の葉100サンプルを対象にインタラクタンス法により吸光度スペクトルを得た。さらに従来法による化学分析を行い、全糖、粗タンパク、総フェノール含有率を得、成分値と吸光値を用いてPLS回帰を行い、検量モデルを作成した。 総フェノール含有率において十分なモデルの精度と頑健性が得られたが、その他の成分に関しては十分とは言えず、サンプル数をさらに追加し、モデルの作成が可能かどうか検討する必要がある。 近赤外分光法を用いた葉における非破壊的な成分定量法の確立により、簡便にオンサイトで樹上の葉の化学成分情報が得られるようになった。現段階では限られた成分情報のみだが、今後その他の成分についても検量モデルを作成していきたい。 また、検量モデル作成と並行し、植食者による摂食の予備実験を行った。植食性昆虫による葉の摂食量や摂食に要する時間等を記録し、本実験における実験デザインを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の分光器購入の遅れにより、検量モデル作成開始が遅れたこと、さらに平成24年度中に申請者が異動し、実験環境が大幅に変化したことにより、研究の遂行に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
全糖、粗タンパク含有率の検量モデルについては、現段階のサンプル数では十分な精度が得られていないため、次年度に追加実験を行う予定である。また得られた検量モデルを用い、植食者による摂食実験での葉の化学形質の経時変化を明らかにする。 十分な精度および頑健性のある検量モデルが得られ次第、随時学術誌に投稿し、掲載の目途が立ち次第、植食者による摂食実験の解析結果も論文化していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全糖、粗タンパク等の追加実験に伴い、化学分析を行う。 また論文執筆のために英文校閲サービスを利用する予定である。
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