2013 Fiscal Year Annual Research Report
葉の被食防御物質を介した植物と植食性昆虫の相互作用ネットワークの解明
Project/Area Number |
23780167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 明子 京都大学, 野生動物研究センター, 研究員 (60568236)
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Keywords | 被食防御 / 植食者 / 摂食 / ブナ科 / 誘導防御 / フェノール |
Research Abstract |
植食性昆虫の摂食による葉の防御レベルの変化を測定するため、本研究では測定対象である葉をサンプリングせずに、樹上で生きたままの状態で成分測定を行う手法を近赤外分光法により確立した。近赤外分光法(NIRS)を用いた非破壊測定では、まず対象から得られたスペクトルと実際の化学成分値の間で検量モデルを作成する必要がある。ノイズの少ない優良なスペクトルを得るためにあらかじめ検討した測定条件の下、検量モデルの作成を行った。 対象のコナラ、シラカシ、およびアラカシ(シラカシ個体の多くが枯死したため、後から追加)の葉(各n=100)のスペクトルを測定し(インタラクタンス法、露光時間20ms)、その後各サンプルの防御レベルとして総フェノール量を定量した(Modified Price Butler法)。得られたスペクトルと化学分析値よりPLS回帰を行い、様々な検量モデルを作成し、予測値の標準誤差が最少となるモデルを選定した。コナラ、シラカシ、アラカシの二次微分スペクトルより、R2=0.68, SEC=1.88, SEP=2.01 (700-950nm), R2=0.41, SEC=2.24, SEP2.60 (700-1000nm), R2=0.73, SEC=1.83, SEP=1.97 (700-950nm)のモデルが得られた。 さらに植食者への摂食実験を行い、摂食刺激が植物体の防御レベルにどのように影響するのかを検討した。植食者に葉を3分の1程度採食させ、同一シュート内、近隣シュート内での葉の防御レベルがどのように変化するのか、コナラとアラカシおよびそのNIRSモデルを用いて推定した。同一シュート内および摂食刺激を受けたシュートより上部のシュートにおいて総フェノール含有率が上がる傾向が見られたが、モデル推定値の信頼区間が広いため、サンプル数を加えた上での再検討が必要である。
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