2011 Fiscal Year Research-status Report
スギ雄花特異的遺伝子はなぜカルスで発現しないのかー遺伝子組換え技術への応用ー
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23780174
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
栗田 学 独立行政法人森林総合研究所, 森林バイオ研究センター, 主任研究員 (40370829)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メチル化 |
Research Abstract |
本研究はスギにおける遺伝子組換え技術の高度化を目指し、導入遺伝子が目的とする組織以外の組織での発現(異所的な発現)を完全に抑える技術の開発を目的とする。スギの雄花特異的な発現を示す遺伝子Muka14をモデルに、スギの雄花と雄花以外の組織におけるMuka14ゲノム配列のメチル化の程度の違いを解析し、エピジェネティックな発現調節機構の観点から遺伝子の発現抑制メカニズムの解明を目的とする。この目的を達成するために、1) スギの雄花とカルスからゲノムDNAを抽出し、スギの雄花特異的に発現するMuka14遺伝子のメチル化の程度を比較解析する。2) カルス特異的メチル化領域を用いてレポーター遺伝子を構築しスギに導入する。3) 形質転換スギカルスを用いてレポーター遺伝子の発現及び導入遺伝子のメチル化の程度を解析する。という手順で実験を進めていくこととしている。今年度はCjMALE1遺伝子の発現パターンの詳細な解析と、CjMALE1遺伝子の発現組織及び発現していない組織からのスギゲノム単離を試みた。まず、CjMALE1遺伝子の発現組織を詳細に解析するため、CjMALE1プロモーター::GUS構築物を導入したスギ形質転換体にジベレリン処理を行い着花を誘導した。9月中旬以降定期的に雄花のサンプリングを行いGUS解析を行った。その結果、CjMALE1遺伝子は減数分裂期前の花粉母細胞及びタペート組織で発現することが明らかになった。次にCjMALE1遺伝子が発現している組織においてCjMALE1遺伝子のゲノムのメチル化の程度を解析するため、マイクロダイセクション法を用いて花粉四分子期のスギの雄花からタペート組織及び花粉四分子の組織を回収しゲノムDNAを抽出した。また、CjMALE1遺伝子の発現していない組織としてスギのカルスを準備し、スギカルスからゲノムDNAの抽出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CjMALE1遺伝子の発現のON, OFFとゲノムDNAのメチル化の程度を比較解析するためにはCjMALE1遺伝子の発現時期及び発現組織を正確に抑えておく必要があった。今年度、CjMALE1プロモーター::GUS導入組換えスギを用いてCjMALE1遺伝子の詳細な発現解析を行うことによって、CjMALE1遺伝子が減数分裂期前のタペート組織と花粉母細胞で発現していることが明らかになり、平成24年度以降の研究を確実に進めていくための基盤を整備することができた。また、本年度に明らかにしたCjMALE1遺伝子の発現時期、組織のデータをもとに、CjMALE1が発現している組織として花粉四分子期のタペート組織と花粉四分子をマイクロダイセクション法により分取できた。さらにここで得られた微少サンプルからゲノムDNAの抽出に成功した。これらの基盤的な成果をあげることが出来たため、平成24年度以降も順調に研究を進めていくことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に採取したサンプルを中心に、ゲノムのエピジェネティック解析を進めていく。スギのタペート組織及び花粉四分子、カルスより抽出したゲノムDNAを用いてにバイサルファイトシーケンスを行う。バイサルファイト処理には市販のキットを用いる。CjMALE1遺伝子が発現している組織から抽出したゲノムと発現していない組織から抽出したゲノムでメチル化の程度に違いがあるかどうかを検証する。検証範囲は、翻訳開始点近傍から着手し、徐々に範囲を上流域に広げていき、組織特異的メチル化可変領域(T-DMR)の検索を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ゲノムDNAのメチル化解析にはバイサルファイト法を用いる。そのために必要なバイサルファイト処理用試薬、目的ゲノム領域の増幅のためのPCR試薬及びシーケンス試薬等に使用する。
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