2012 Fiscal Year Research-status Report
高機能性土壌の森林での分布を決める火山灰混入程度の全国評価
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23780177
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
今矢 明宏 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (60353596)
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Keywords | 火山灰 / アルミニウム / 森林土壌 / 土壌炭素蓄積 / インベントリ |
Research Abstract |
我が国は世界有数の火山国であり、全国に広く火山灰が堆積している。火山灰土壌は炭素を蓄積する能力が非常に大きく、温暖化の緩和に貢献している。しかし、山地にある森林土壌では、火山灰は他の地質風化物と混合し土壌の母材となっており、その分布が明らかでない。その分布を明らかにし、炭素蓄積との関係を明らかにすることは、炭素蓄積を人為的にコントロールしていく上で重要な知見となる。そこで本研究では、森林土壌における火山灰混入程度を広域に解析することで、温暖化の緩和機能が大きい森林土壌の空間分布を把握することを目的とし、全国から均等な割合で採取された森林土壌について非晶質および有機-無機複合体の形成に関与しているアルミニウム含有率を測定する。平成24年度は林野庁森林吸収源インベントリ情報整備事業において2006年度、2007年度および2010年度に採取された代表土壌断面試料約2000検体について酸性シュウ酸塩可溶アルミニウムおよび鉄、シリカ濃度ならびにピロリン酸可溶アルミニウム濃度の測定を行った。これまでの分析値を用いて全国の森林域における826地点の土壌について火山灰付加程度を判定した。その結果、試料のおよそ2割が火山灰土壌、およそ6割が火山灰の付加がみられる土壌、残りの2割が火山灰の影響がほぼないと考えられる土壌であった。火山灰付加程度の地域性を明らかにするため、酸性シュウ酸塩可溶アルミニウム濃度についてGetis-OrdのG*i(d)統計量を求め空間クラスター分析を行った。火山灰付加程度が強い地域としては北海道東部、東北地方東北部、関東地方、九州地方中部および南部が検出され、火山灰付加がほぼ見られない地域として近畿地方、中国地方西部、四国地方が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定していた試料の分析を完了し、日本の森林域における火山灰土壌の分布割合および分布の地域性を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
全国森林土壌における火山灰混入程度の空間分布と「森林吸収源インベントリ情報整備事業」による土壌炭素蓄積量の分布傾向を比較検討するとともに、ピロリン酸可溶アルミニウムによって示される有機-無機複合体の形成状況を解析することで、日本の森林土壌の炭素蓄積の分布への火山灰付加程度の関与を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、分析機器のスケジュール調整による効率化による分析用ガスの発注量減により生じた繰越金と合わせ、再分析および追試に必要な試薬、分析用ガス、フィルター等消耗品および分析補助のための人件費に使用する。また、成果の学会発表のための旅費ならびに成果の公表に必要な投稿料等の経費を支出する。
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Research Products
(2 results)