2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる白色腐朽菌の選択的リグニン分解機構と鍵代謝物生合成系の解明
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23780183
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 崇人 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (30362403)
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Keywords | リグニン / 白色腐朽菌 / 脂質関連代謝物 / プロテオーム |
Research Abstract |
本研究は,選択的リグニン分解菌 Ceriporiopsis subvermispora のリグニン分解機構の分子レベルでの解明を目的とし,その一環として今回,リグニン分解フラグメントであるバニリンに対する本菌の細胞応答を RNA レベル及びタンパク質レベルで解析した. まず,サプレッションサブトラクティブハイブリダイゼーション法を用いてバニリン存在下で転写が誘導される遺伝子クローンを数多く取得した.これらの遺伝子の中には,バニリン等の芳香族化合物の分解や脂肪酸の生合成及び不飽和化に関与する酵素遺伝子が存在した.これにより,バニリンが芳香族化合物分解系だけでなく,脂質代謝系を活性化させるシグナル分子の一つであることが強く示唆された. また,本菌は木材やリグニン分解フラグメントの存在下で菌体外多糖を大量に産生することから,本菌の細胞内タンパク質の調製がこれまで困難であった.しかしながら,今回,本菌から細胞内タンパク質を高純度かつ高濃度に抽出する方法を確立した.また,二次元電気泳動を行うにあたり,タンパク質の可溶化や泳動等の様々な条件を最適化した.さらに,蛍光ディファレンスゲル二次元電気泳動法により,一枚のゲルで異なる種類のタンパク質プロファイルの取得や比較,そして,発現差のあるタンパク質の分離が可能となった.一方,発現差のあるタンパク質に関しては,トリプシン消化の最適化を行い,質量分析(MS/MS 解析)にかけ,その後,本菌の全タンパク質のアミノ酸配列を用いた MS/MS 解析のデータベース検索を行うことでタンパク質の同定が可能となった. 以上より,今回得られた成果及び本菌のタンパク質に特化したプロテオミクスの手法は,選択的リグニン分解機構や代謝物生合成系のさらなる解明に貢献するものと考えられる.
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Research Products
(2 results)