2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780187
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横田 慎吾 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30600374)
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Keywords | ネマティックオーダーセルロース / 表面化学修飾 / リビングラジカル重合 / ナノ構造構築 / 分子レール |
Research Abstract |
本研究では、ボトムアップ的な生物のものづくりにおいて重要な「足場(テンプレート)」表面のエネルギー状態に着目し、セルロースをベースとした新規テンプレート機能材料の創製を目指した。特に、水膨潤セルロースゲルの一軸延伸によって調製されるネマティックオーダーセルロース(NOC)の特異な表面構造(分子配向)を活かした精密化学改質を試みた。前年度までに、NOC表面に規則配列したOH基を起点とし、表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)法によって、NOC表面の配向を保ったままでのポリメタクリル酸メチル(PMMA)側鎖の導入に成功した。 本年度は、得られたPMMA修飾NOC表面のより詳細な構造解析を行い、精密なナノ構造の設計を図った。原子間力顕微鏡を用いて表面のナノ形状を可視化したところ、NOC表面の配向のピッチ(約200 nm)は不変のまま高さ(約6 nm)がおよそ2倍高くなったことが明らかとなった。すなわち、本手法によってNOC表面のレール状パターンを活かした新しい三次元構造体が構築されたことが示された。さらに、ポリマー鎖のグラフト密度における重要な因子となるSI-ATRP開始基について、赤外分光法、X線光電子分光法によって評価したところ、反応条件の精査によりNOC表面における置換度がコントロールされることが示された。また、重合条件の操作によってPMMAの重合度(ポリマー鎖長)は容易に制御可能であった。すなわち、NOCをベースとした三次元ナノ材料の緻密な構造設計の可能性が見い出された。
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