2012 Fiscal Year Annual Research Report
アカエゾマツバークを硬化促進剤とした低温硬化型フェノール樹脂接着剤の開発
Project/Area Number |
23780189
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Research Institution | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
Principal Investigator |
宮崎 淳子 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場 性能部, 研究主任 (50446340)
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Keywords | フェノール樹脂 / 樹皮 / アカエゾマツ / 木材接着 / 熱圧温度 |
Research Abstract |
本課題は、アカエゾマツの樹皮粉末を硬化促進剤として用いることで、従来より低温での加熱で接着可能なフェノール樹脂を開発することを目的としている。 平成23年度は、フェノール樹脂を合成し、その化学構造を調べるとともに、樹皮粉末を添加することによって硬化が促進されるかどうかを熱分析計などを用いて検証した。 平成24年度は、前年度の検討の結果、樹皮粉末を添加することで硬化が促進されたフェノール樹脂を用いて、接着試験を行った。その結果、通常の合板製造で適用されている熱圧条件(130℃5分間)では、解圧直後にはく離し、十分に接着されないことがわかった。これは、供試したフェノール樹脂がほぼ低分子化合物で構成されていたためと考えられた。 そこで、合成方法を再検討し、高分子量化合物も含み、幅広い分子量分布を持つフェノール樹脂を合成した。新たに合成した一連のフェノール樹脂について、樹皮粉末を添加することによる硬化促進の有無を調べるとともに、接着性能試験を行った。その結果、熱圧温度が100℃の場合においても、樹皮粉末を添加すると接着強さが増大し、良好な接着強さを発現するフェノール樹脂の合成条件と化学構造を明らかにできた。 また、アカエゾマツ樹皮粉末の50%メタノール抽出物と残渣にわけ、それぞれをフェノール樹脂に添加し、示差走査熱分析計で硬化挙動を調べた結果、抽出物を添加した場合に硬化反応が促進されていることが示唆された。
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