2012 Fiscal Year Annual Research Report
被嚢動物オタマボヤを用いたセルロース結晶多形が生じるしくみの解析
Project/Area Number |
23780191
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Research Institution | 沖縄科学技術大学院大学 |
Principal Investigator |
中島 啓介 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (10422924)
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Keywords | セルロース / セルロース合成酵素 / 結晶多形 / アロモルフ / 単位胞 / オタマボヤ |
Research Abstract |
セルロース生合成における結晶形成過程を理解するべく、海洋性動物プランクトンであるワカレオタマボヤのセルロース合成酵素の解析を行った。ワカレオタマボヤは、幼生期と成体期において、それぞれ単位胞の異なるセルロースを合成し、その際、別個のセルロース合成酵素遺伝子(Od-CesA1とOd-CesA2)を用いる。Od-CesA1とOd-CesA2はアミノ酸配列上約7割が共通しており、残りの3割がそれぞれに特有の立体構造ひいては結晶形成過程における働きに効いているという仮説のもと、これらOd-CesAに変異を人為的に導入し、セルロース結晶特性にどのような違いが生じるかを検証することを目的とした。当初の計画では、Od-CesAのmRNAをワカレオタマボヤ胚に顕微注入し、発生後の生体中のセルロースを評価する予定であったが、新たな所属先におけるワカレオタマボヤの飼育に問題が発生し、かつ、顕微注入後の胚の発生率が悪かったため、結果的に、効率が悪い作業でありながら意図した影響を評価することが難しいと結論づけられた。計画時に、このような事態への対策として、異種発現系によるセルロース合成酵素の機能評価を準備していたため、二年目は異種発現系を用いることにした。準備した異種発現系ホストは、大腸菌・酵母・昆虫細胞の3種類である。大腸菌はコールドショック誘導プラスミドを基本とした系が機能しているため、これを用いて発現を試みたがOd-CesAの発現を誘導することは困難であった。現在、ピキア酵母ならびに昆虫細胞Sf9を用いた発現を調整しているところである。ピキア酵母に関しては、発現していることを示すデータが得られているため、押し進めて当初の目的を果たしたい。
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