2012 Fiscal Year Research-status Report
浮沈式生簀での養成を目標とした養殖クロマグロの遊泳行動の分析
Project/Area Number |
23780200
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米山 和良 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (30550420)
|
Keywords | クロマグロ養殖 / 遊泳行動 / 浮沈式生簀 / バイオロギング / 養成環境 |
Research Abstract |
本研究は、国内のクロマグロ沖合養殖を実現させるために必要不可欠となる、浮沈式生簀内の養殖クロマグロの遊泳行動を明らかにすることを目的としている。 平成24年度では、平成23年度に実施した養殖クロマグロの3次元遊泳行動の分析を行い、曲率を用いた旋回行動の評価を実施し、現在、結果をまとめている状況にある。3次元遊泳経路の可視化では、養魚の浮沈式沖合生簀内の空間利用を明確に把握できたが、計測機器の電池容量の限界で2日間のデータ取得に留まり、季節傾向など長期にわたる行動や環境刺激に対する反応行動について把握するには困難があった。そこで、遊泳深度と摂餌行動を10ヶ月間と長期にわたるデータを取得できる新しく開発されたアーカイバルタグを用いた行動計測を開始した。本行動計測方法は、3次元遊泳経路と比較して取得できる行動推定パラメータが少ない計測方法であるため、23年度に提案した情報量(相対エントロピー)を用いた行動評価手法を用いて、遊泳深度の行動情報のみから通常時と異常時の遊泳行動の分離を試みた。これにより、情報量から通常遊泳、通常ではない遊泳に分離することが可能になり、さらに遊泳深度の情報から摂餌行動を検出できる可能性を示唆できた。また、沖合生簀特有の現象である、養成空間の減少等の環境変化に対する反応行動を、情報量を用いた行動分析により可視化することに成功した。現在、長期間にわたるクロマグロ養魚の行動計測を実施しており、次年度にはデータの取得が完了し、分析が可能となる予定である。 また、浮沈式沖合生簀内の養魚の行動の特徴を把握するため、現用の養殖クロマグロ生簀においても行動実験およびヒアリング調査を実施し浮沈式生簀と現用生簀との行動の違いを明らかにするための調査を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度、平成24年度に浮沈式生簀へ放流した養殖クロマグロには行動記録計が装着されており、大部分は回収され、長期計測が可能なアーカイバルタグについては、現在もタグを装着した実験個体が浮沈式生簀内を遊泳しており、次年度中には回収される予定である。また、一部回収されたデータについては、解析も順調に進んでおり、当初の予定通り研究は進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では平成24年度に引き続き、平成23、24年度に計測されたクロマグロの遊泳経路から生簀壁面に対する旋回行動を分析し、生簀の大きさの違い、養魚のサイズの違い、昼夜の違いを中心に比較し、また、生簀内の空間利用を定量評価して、クロマグロ養魚の行動の視点からみた浮沈式沖合生簀の評価を行う予定である。 また、平成24年度に実施した長期行動モニタリングが可能なアーカイバルタグの回収が平成25年度に見込めるため、タグの回収次第分析し年度内に浮沈式生簀内で頻繁に発生する養成空間の減少、水温変化および浮沈操作時の行動の質を情報量で評価し、養魚の異常行動を検出する予定である。 また、他の現用生簀のヒアリング調査および行動計測結果を比較し、浮沈式生簀特有の問題が明確になればそれについても言及する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、平成23、24年度に実施した研究成果を国内学会・国際学会に発表するための旅費が研究費の多くを占め、また、現用生簀と浮沈式生簀との比較のために実施しているヒアリング調査のための旅費、成果をまとめるための英文校閲料やPC周辺機器や事務用品を中心に研究費を執行する予定である。
|
-
-
-
-
-
[Presentation] 養殖クロマグロ幼魚の特異行動2012
Author(s)
米山和良, 門田実, 藤岡紘, 安樂和彦, 近藤了太郎, 田中一成, 谷和博, 鳥澤眞介, 高木力
Organizer
平成24年度日本水産学会秋季大会
Place of Presentation
山口
Year and Date
20120914-20120917
-