2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23780216
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安元 剛 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (00448200)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 石灰化 |
Research Abstract |
本研究は海洋細菌の培養時に認められる炭酸カルシウム顆粒の形成メカニズムの解明を目的としている。まず、アザミサンゴ由来の海洋細菌および水深470m付近で採集した海洋細菌についてMarine-Agar 培地で培養を行い、炭酸カルシウム顆粒形成の有無を確認した。その結果、様々なグルーブの菌種で顆粒形成が確認でき、特に増殖の速い菌種は顆粒形成が速い傾向も認められた。これらのことから細菌の普遍的な代謝物や機能が顆粒形成に関与していることが示唆された。また、同一菌株においても、より培養時に空気と接触させる状態で顆粒形成が促進されることが確認できた。このことは顆粒形成には、培地中に含まれている炭酸塩などに加えて空気中の二酸化炭素が取り込まれているものと推定できる。そこで、空気中の二酸化炭素を吸収するアミノ系の低分子化合物に注目した。工業的に用いられているアミン法から推定すると、アミノ基を有する低分子化合物は二酸化炭素を溶液中に吸収できることが予測される。しかし、大気圧下でのアミノ基を有する化合物の二酸化炭素吸収に関する報告はほとんどない。我々は、細菌が多く産生し、アミノ基を多く有する低分子化合物としてポリアミンに着目した。ポリアミンはすべての生物の細胞内に高濃度で存在し、細胞の増殖や分化に関与していると推定されている化合物である。そこで、ポリアミン数mMと海水を混合し一晩静置したところ、ダンベル状や球状の炭酸カルシウムが形成された。ポリアミンはバクテリアなどの微生物には数十mMも存在するとの報告もあるため、培養時にみられる炭酸カルシウム顆粒の形成に関与している可能性が高いことが示唆される結果となった。ポリアミンが炭酸カルシウム形成に関与するという報告はこれまでなく、海洋生物の石灰化機構の研究に大きな進歩をもたらす可能性は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海洋細菌の石灰化に関与していると考えられる低分子化合物を推定することができたため
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Strategy for Future Research Activity |
海洋細菌の培養液中に存在するポリアミンの総量をLC/MS/MSで分析する。また、海水を用いて作成した炭酸カルシウムはアラゴナイトであったが、海洋細菌の培地中にみられる顆粒はカルサイトであった。この結晶系の制御に関わる因子も特定していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は繰越金を含め、消耗品の購入、機器購入、国内外の研究発表などを考えている。
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