2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780216
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安元 剛 北里大学, 水産学部, 講師 (00448200)
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Keywords | 炭酸カルシウム / ポリアミン / 二酸化炭素 |
Research Abstract |
環境から単離した海洋細菌株を用いて,CaCO3形成能を検討したところ,αおよびγ-プロテオバクテリア,バチルスまたは放線菌といった広範な種でCaCO3形成を確認した.特に増殖が活発な菌種においてCaCO3形成が生じること,空気とよく触れるような培養条件がCaCO3形成には重要であることがわかった.空気とより接触するような培養条件で,CaCO3形成が促進されたことから,工業的なCO2吸収に利用されているアミン系化合物に着目した.生体内に多量に存在するアミンとしてポリアミンに着目し,各種ポリアミンを 10 mM CaCl2と混合し一晩静置後,生じたCaCO3結晶を顕微鏡下で観察した.同時に,ポリアミンの塩基性とCaCO3形成の関係を考察するため,10 mM CaCl2を調整時のポリアミン溶液と同等のpH 11 にNaOHおよびNH3を用いて調整し,CaCO3形成量を比較した.その結果、各種ポリアミンとCaCl2の混合溶液からも多量のCaCO3が生じることが確認できた.NaOHを用いてポリアミンと同じpHに調整したCaCl2溶液からはCaCO3はほとんど生じなかった.同様にNH3でpH調整したCaCl2溶液からはわずかにCaCO3形成が見られた.この結果から,ポリアミン存在下での顕著なCaCO3形成反応は,アミン系化合物が高濃度CO2を吸収する機構と同様に,アミノ基が空気中のCO2と結合してカルバメイト誘導体となり,カルバメイト誘導体が徐々に水と反応し,重炭酸イオン(HCO3-)が生じてCaCO3が沈殿するというメカニズムが強く示唆された.また、海洋細菌の培地上に生じる特徴的な形状をしたカルサイトを,培地成分であるクエン酸三ナトリウムやペプトンを添加することで再現することに成功した.本研究により全く新しいCaCO3形成機構を推定することができた。
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