2011 Fiscal Year Research-status Report
ニジマスをモデルとした魚類における大豆油粕給与による胆汁異常発生メカニズムの解明
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23780217
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
村下 幸司 独立行政法人水産総合研究センター, 増養殖研究所, 研究員 (60597649)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 魚類 / 大豆油粕 / 魚粉 / 胆汁 |
Research Abstract |
世界的に魚類養殖が増大する中、その飼料の主原料である魚粉の減少が養殖漁業を揺るがす大きな問題となっている。魚粉に変わる植物性原料として量的・質的・価格的に最も利用性が高いのが大豆油粕(SBM)であるが、SBM 給与により胆汁異常を含む種々の生理異常が引き起こされる。また、SBM 主体の飼料へ胆汁末を添加することでそれら生理異常は改善されることから、養魚飼料において植物性原料の利用性向上のためには「胆汁生理」がキーポイントであると言える。そこで本研究ではニジマスを用いて、SBM 給与に起因する胆汁生理異常の発生機構を調べることを目的とした。魚類では胆汁生理に関する知見がほぼ皆無であることから、まず初年度である平成23年度は、哺乳類で胆汁生理に重要とされる8種の遺伝子(CYP7A1, CYP8B1, FXRa, SHP, BSEP, ASBT, OSTa および NTCP)をニジマスEST情報を基に単離した。単離された遺伝子の内、CYP7A1, CYP8B1, SHP および OSTa からは各2種類のホモログ遺伝子が発見され、魚類特有の遺伝子重複に起因するものであると推察された。また、得られた塩基配列情報から各遺伝子の発現量測定系を確立し、組織発現分布を調べた。その結果、NTCP では哺乳類での報告と大きく異なる部位で発現しておりその機能分化が示唆されたものの、その他の分子については、胆汁生理に重要であると思われる部位で強く発現していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って順調に成果が得られている。魚類胆汁生理に関する分子機構の報告は皆無であったが、本研究により哺乳類と魚類の類似点や相違点が明らかになりつつあり、大きく前進したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度には、ニジマスの胆汁生理に重要な分子の遺伝子配列が得られ、それら遺伝子の発現量測定系が確立されたことから、次年度は確立した測定系を用いて生理学的な知見を収集する。加えて、SBM 飼料によるニジマス飼育試験を実施し、SBM が胆汁生理に及ぼす影響を明らかにしてゆく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費は、主に SBM 飼料によるニジマス飼育試験のための分析試薬や実験用飼料作製のための消耗品費に使用する。また、これまでに得られている研究成果を発表するための旅費としての使用も予定している。
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