2012 Fiscal Year Research-status Report
日英における大学の地域連携システムに関するアクションリサーチ
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23780227
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中塚 雅也 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40432562)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
英国での事例調査の知見の神戸大学農学部への移転による実践的研究をおこなった。神戸大学農学部連携センターを事務局にして,新しい人材育成プロラムを企画し,実験的に実施した。具体的には,兵庫県篠山市を拠点に,我が国の農村部での学習ネットワーク「農の学び場-Rural Learning Network-」を設立し,セミナーやワークショップをとおして,人材育成とネットワーク形成をすすめた。 セミナーについては,学習とネットワークを深める対話型プログラムを,タイプを変えながら計8回実施した。また,ネットワーク化については,行政,NPO,大学,民間の各セクターから約120名が会員登録され,新たな地域学習のプラットフォームの基礎がつくられた。また,セミナーにおける対話・ネットワーク化を通じて,「獣害対策」と「地域自治システム」に関する実践コミュニティが新たに形成された。 以上の実践から,学習ネットワークの設立から運営に至るプロセスにおける展開要因,および,具体的な対話型プログラムのフレームの確立された。なかでも,英国同様に,地域を限定した開放的なプログラム設計,大学の主導による活動の質を保証と利害関係からの独立性は,日本においても学習ネットワークの継続に重要な要因となることが分かった。しかしながら,運営資金については十分に得ることができておらず,その解決のためにも,取組の効果を具体的に示し,社会的意義を明らかにすることが課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目的である,「英国の大学の地域連携システムを,社会的条件との関係のもとで明らかにし,その要点や課題を分析すること,そして,その英国での知見を神戸大学の地域連携システムに実践的に反映させ,評価分析することを通して,我が国の地域連携システムの実践的,制度的発展を図ること」については,英国での知見を応用しながら,今年度,日本において,具体的な学習ネットワークを設計,設立,運営した。また,その評価の分析の準備は整っている。 また,第二の目的にあげた,具体的な地域リーダー育成プログラムの開発ついては,上記の学習ネットワークのプログラムとして試行実験を繰り返している。 そうした実績から,第三の目的とした「英国への還元,国際的な比較分析」にむけての準備も整っていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
日本での取り組みの継続実施と英国への還元を通じた,日英間の比較研究の実施と,国際的な協力・比較研究への展望を整理する。 日本の神戸大学での導入で得られた知見を整理し,日英の地域連携システム,人材育成プログラムの差異を,地域特性と関連づけて分析する。また,特に,学習ネットワークの評価指標の開発をすすめるとともに,学習ネットワークの設立・運営モデルの確立,人材プログラムの体系化をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
農村地域学習ネットワークの基盤形成の一環として,主体となる「実践コミュニティ」の育成に資する図書購入費および謝金等を使用する。 また,英国での比較検討,国内の先進事例調査および情報収集のために旅費を使用する計画である。
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