2015 Fiscal Year Annual Research Report
リレーションシップバンキングを基軸とした農業金融の新手法と金融機関連携の研究
Project/Area Number |
23780229
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
森 佳子 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (40346375)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農業金融 / 民間金融機関 / 企業間信用 / 資金調達 / 経営発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多様な農業経営主体の組織的、機能的特質を考慮し、理論・実証分析を通じて、リレーションシップバンキングを基軸とした農業金融の新しい手法とそれを実現するための金融機関(公庫、農協、民間金融機関)の連携を構築することを目的としている。本研究で取り組んできた具体的課題は、以下の3点である。 1)多様な農業経営主体の資金需要に対応できる金融手法を、中小企業金融の分野で用いられている新しい金融技術(ABL、スコアリング融資など)の農業金融への適用可能性を検討した上で、提示する。2)農協以外の民間金融機関が積極的に行ってきている、農業融資以外の農業者への支援の実態と課題を整理し、民間金融機関による農業者への支援のあり方を提示する。3)多様な金融機関(公庫、農協、民間金融機関)の構造的・機能的特質をふまえ、新しい金融技術に対応した、望ましい連携のあり方を検討する。 本研究が研究期間内に実施したことは次の二点である。1)農業金融のミクロ実証基盤の構 築:民間信用会社が保有する信用調査に基づき、農業経営の財務データベースを構築するとともに、アンケート調査を実施し、農業金融のミクロ実証基盤を構築する。 2)農業金融問題への新たな分析枠組みの導入可能性の検証:企業間信用の決定要因、資金需要者と供給者間の取引関係に着目し、これまでデータ上の制約により実証がなされてこなかった分析枠組みの実証可能性について検証した。 本研究では資金需要者に対してだけではなく、資金供給者に対しても、本研究で自ら設計するアンケート調査とヒアリング調査を大規模に実施した。さらに、信用調査会社が大量に所有する資金需要者に対するハードおよびソフトな情報を入手しリンクさせることを試みた。ミクロ的な視点からの詳細な定量分析が可能となる借手と貸手双方のデータベースを構築することによって、設定した課題の解明に取り組んだ。
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Research Products
(5 results)