2012 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域耕畜連携システムの持続性に関する実証的研究
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23780230
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
井上 憲一 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (60391398)
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Keywords | 耕畜連携システム / 中山間地域 / 農業経営 / 地域資源 / 持続性 |
Research Abstract |
本研究の課題は,中山間地域耕畜連携システムの持続性を実証的に明らかにすることにある。そのために,システムの基本モデルを導出し,経営主体間の連携関係の構築過程や参加継続条件を分析する。また,中山間地域に特有の作業条件をふまえた上で,システムの最適規模を定量的に分析する。そして,これらの分析を通じて,中山間地域耕畜連携システムの実態に整合した支援施策のあり方について検討する。 本年度は,中山間地域耕畜連携システムの持続性を規定するいくつかの要因について分析した。具体的には,異なる主体間の連携構築の特徴と参加継続条件,農業生産法人における従業員の労務管理,耕畜連携型の放牧酪農に関する聞き取り調査とアンケート調査を実施した。調査対象は,広島県と島根県の農業生産法人に加え,島根県出雲地方の学習組織とした。 その結果,(i)組織の理念の明確化と組織化の実行力に加えて,異なる両グループに多くの関係を有する牽引役のリーダーの存在が重要であること,(ii)運営における役割分担について,重要な役割をリーダーが担当する一方,異なる両グループにそれぞれ役割を配分していること,(iii)連携構築により,交流活動などの波及効果がみられること,(iv)従業員雇用の目的により,労務管理の内容に差異が認められること,(v)休耕地を活用した耕畜連携型の小規模放牧酪農の特徴をそれぞれ明らかにした。これらの分析結果は,学術雑誌や図書等において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で掲げた,作業技術データや経営データの取得,連携関係の構築過程や参加継続条件に関する聞き取り調査とアンケート調査の実施と定性的分析ならびに定量的分析がおおむね達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,補足調査を随時実施して分析を進め,中山間地域耕畜連携システムの持続性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画より少額の物品費と旅費で賄えたため,593千円の繰越が生じた。次年度は,請求額500千円とあわせた1,093千円について,次の内訳で使用する計画である。物品費400千円,旅費400千円,人件費・謝金100千円,その他193千円。
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