2013 Fiscal Year Annual Research Report
カンボジア貧困農村における子供の健康・栄養の改善および平準化に関する実証分析
Project/Area Number |
23780235
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00552001)
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Keywords | カンボジア / 子どもの健康・栄養 / ショック / インフォーマル・リスク・プーリング / 農村貧困 |
Research Abstract |
本研究の目的は、開発途上国のひとつであるカンボジアの、特に貧困問題が深刻な農村部における、子供の健康・栄養状態および成長に焦点をあて、それらの決定因を実証分析と地域研究的な手法を用いて明らかにすることであった。特に本研究では、「村落の特性とその差異が子供の健康・栄養状態に与える影響」と「家計レベルおよび広範レベルでのショックの子供の成長への影響」、「インフォーマルなリスク・プーリング制度の子供の栄養状態(成長)への効果」の3点に着目した。 最終年度である平成25年度は、上記の特に不測のショックとそれに対応するインフォーマルなリスク・プーリング制度に関する先行研究のレビューと、実証分析の際の推計方法などに関する文献研究を行った。また、平成23・24年度にカンボジアのコンポンスプー州およびタケオ州の12村落において、合計500世帯に対して実施した家計聞き取り調査で収集したデータを用いた分析研究も併せて進めた。 これまでに得られた分析結果より、カンボジア農村において、不測のショック(特に病気・ケガなど)が(身長と体重で測った)子どもの栄養状態・成長に負の影響を与えていることが示唆された。リスク・プーリング制度についてはまだ十分な結果が得られていないため、信用にたるより頑強な分析結果を得るために、今後さらなる検討と分析手法の精査が必要である。 カンボジア農村を対象としたこれらの研究は限られており、また、現地調査で収集されたデータから得られた情報は、既存の統計資料からでは十分でないことからも、カンボジア農村部での調査により独自にデータを収集したことの意義は大きい。今後、さらに十分な実証分析の結果が得られた場合には、カンボジアの開発や貧困削減の最重要課題として位置づけられてる保健分野の政策を検討する際の基礎的情報として重要な意味をもつといえる。
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