2012 Fiscal Year Research-status Report
浸透による土粒子輸送現象の解明と解析手法の開発~土中の流砂力学の創造~
Project/Area Number |
23780247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤澤 和謙 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (30510218)
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Keywords | 侵食 / 数値計算 / 浸透 / 浸透力 |
Research Abstract |
浸透流によって輸送される土粒子の速度及び移動機構の把握に関連して,(1)水平方向に輸送される土粒子速度と浸透力の関係,(2)流動化した砂質土の数値シミュレーション手法の開発,(3)ダルシー相と流体相の同時解析手法の開発,の3項目に取り組んだ. (1)については,昨年度に行った重力に抗して鉛直方向に運ばれる土粒子の移動速度とは異なり,摩擦力に抗して運ばれる土粒子の移動速度と浸透力の関係を実験的に調べた.その結果,固体としての砂が流動化する過程では,移動速度(変位速度)が増加するにつれて,輸送に必要な流体力が減少することが明らかとなった。 (2)については,砂と浸透水の連続式と運動方程式を慣性項を考慮して,動的な支配方程式を導くことにより,双曲型の連立偏微分方程式の形で流動化する砂の数値解析を試みた.数値解析手法には有限体積法にCWENOスキームと適用し,双曲型の問題を首尾よく数値計算することとした.その結果,一次元の問題については理論通りの計算結果を得た.現在は2次元の問題に取り組んでいる. (3)については,侵食を扱う上では水の領域(流体相)と土中の浸透領域(ダルシー相)の両方の流れを解析し,土粒子に加わる流体力を正確に把握する必要があるため,上述の(2)の課題に追加して研究を開始したものである.研究代表者は流体相とダルシー相の両方で成立するDarcy-Brinkman式に着目し,これら2つの相における水の流れを簡単かつ安定的に計算することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,土中で生じる土粒子の移動・輸送現象について定量的な把握を行うとともに,その現象を予測するための数値計算手法を開発することを目的としている.これまでは,おおよそ研究計画で予定した通りに進んでいる.数値解析においては,予定しているよりも進んでいるが,実験については摩擦抵抗の計測が直接的に行えていない点が課題として挙がっており,これについては次年度に継続する予定である. 以上から,数値解析と実験をトータルするとおおむね計画通りに進んでいると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,数値解析においては(1)砂の流動化現象を数値的に解析する手法の多次元化,(2)流体相とダルシー相の同時解析技術の発展,の2つに取り組む.これらについては,これまでにノウハウを積み重ねており,順調に進むものと考えられる.実験については,実験装置を工夫し,砂が固体から流動化する過程の摩擦力の変化の直接的な計測を行い,昨年度の実験データを補うものとする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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