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2011 Fiscal Year Research-status Report

作物の生体電位を用いた対話型灌漑手法の確立

Research Project

Project/Area Number 23780248
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

弓削 こずえ  九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70341287)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords生体電位 / 土壌水分 / 土壌物理性 / 水ストレス / 時系列解析
Research Abstract

作物(ブロッコリー)をワグネルポットで栽培し,生育初期および終期の生体電位を測定した.まず,生体電位のスキャニング間隔をマイクロ秒~秒単位に様々に変化させて,最適な測定間隔を明らかにして,生体電位をモニタリングした.作物個体は複数用意し,灌水のタイミングを土壌水分状態に応じて数パターン設定して育した.水分環境以外の外的環境の変化の影響を除去するため,作物の栽培は室内で行い,土壌水分状態以外の栽培環境(気温や湿度など)はポット間で差が出ないように実験を行った.ポット内の土壌水分状態はテンシオメータを用いて連続測定した.さらに,ポットを人工気象器内に設置し,一定の温度,湿度,日照条件で栽培し,土壌水分状態を水分過多,水分適正,水分不足の3条件に設定し,土壌水分状態の際による生体電位の違いを実測によって明らかにした. 作物の水ストレス状態を把握するため,蒸散量を台ばかりで継続して測定するとともに定期的に水ポテンシャルを実測した.生体電位の変化は短時間に頻発するため,スキャニング間隔はミリ秒単位とした.生体電位測定でもっとも大きな障害のひとつであるノイズを除去するため,医療用の皿電極を導入し,さらにフィルタをかけて精度の高い生体電位測定を行った. 生体電位の生データは変化が大きく,その変動傾向を探ることが困難であるため,ウェーブレット解析を行い,土壌水分状態の変化や水ストレスの度合いに対する生体電位反応の変動傾向を抽出した.その結果,土壌水分状態の変化に応じて,同じ生育ステージの同一種類の作物であっても,生体電位の周波数帯が異なることが明らかとなった.さらに,作物の生育ステージによって生体電位の変動特性が変化することが明らかとなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度は,作物の生育初期および終期の生体電位を測定することができた.また,様々なスキャニング間隔で生体電位を実測することにより,生体電位の最適測定間隔を明らかにした.様々な土壌水分状態に応じた生体電位反応の違いも時系列解析によって抽出することができた.今年度の研究で得られた成果は,学術論文としてまとめるとともに,国内外の学会で発表した.ただし,今年度の予算入金の時期の都合上,人工気象器の購入が遅れたため,作物の生育期間を通じて継続的に生体電位を測定することができず,データの蓄積が十分であるとは言えない.今年度購入した機器を次年度以降の実験に直ちに供し,データの充実に努めたい.

Strategy for Future Research Activity

今後は,引き続き栽培実験を行ってデータの蓄積を図りたい.土壌中の水分動態予測モデルおよび層モデルを導入し,これらのモデルによって土壌水分状態および作物の水ストレス状態を予測する.これらの予測結果をパラメータとして,生体電位の変動を予測するモデルを構築する.既往の研究により,非線形理論によって植物の大気浄化に関する生体電位を予測することが可能であると示されており,本研究でもこれを導入してモデルを構築する予定である.その他にもロジスティック・モデルなどによる予測モデルの確立の可能性も検討する.このように,多角的な手法を導入予定であるが,個々のモデルは既に研究代表者が完成させており,これらを組み合わせることによって,生体電位の予測手法が実現すると考えている.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度は,生体電位のデータの蓄積を図るため,生体電位測定用電極,農業用資材および土壌水分センサーなどの実験用の消耗品の購入を予定している.また,ミリ秒単位の大量の生体電位データを収集・保存・解析するための高性能のパソコンを購入したい.また,研究成果を国内外の学会で発表することを予定しているため,旅費の支出を計画している.膨大な生体電位データの収集および整理を直ちに行うために大学院生の実験補助を予定しており,そのための謝金を計上している.さらに,国際学会への参加費,現地調査における燃料費などにも研究費を充てる予定である.

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 2011

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] 風速および土壌水分状態の変化が畑地における土壌飛散量に及ぼす影響評価2012

    • Author(s)
      弓削こずえ,山田早桜,阿南光政,凌祥之
    • Journal Title

      畑地農業

      Volume: 640 Pages: 2-8

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Two-Dimensional Analysis of Nitrate Nitrogen Movement under Drip Irrigation2011

    • Author(s)
      Nomura K., K. Yuge, and Y. Shinogi
    • Journal Title

      J. Fac. Agr., Kyushu Univ.

      Volume: 56(2) Pages: 389-393

  • [Presentation] Evaluation of soil temperature rise effect and soil moisture environment during a period of solar heat disinfection in greenhouse.2011

    • Author(s)
      Yuge K., M. Anan, T. Haraguchi, Y. Shinogi
    • Organizer
      PAWEES 2011 International Conference
    • Place of Presentation
      Taipei, Taiwan
    • Year and Date
      2011.10.27
  • [Presentation] 太陽熱消毒時の施設畑土壌の昇温効果と土壌水分環境2011

    • Author(s)
      弓削こずえ,阿南光政,原口智和,凌祥之
    • Organizer
      第92回農業農村工学会九州支部講演会
    • Place of Presentation
      大分県別府市
    • Year and Date
      2011-10-18
  • [Presentation] Planning of the agricultural land use and water management system for preservation of ecosystem in the rural area2011

    • Author(s)
      Yuge K., Y.Oohira, M.Anan, Y.Shinogi
    • Organizer
      3rd International Multidisciplinary Conference on Hydrology and Ecology
    • Place of Presentation
      Vienna, Austria
    • Year and Date
      2011-05-03

URL: 

Published: 2013-07-10  

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