2011 Fiscal Year Research-status Report
多様な土壌条件に対応し得る三次元耕うんシミュレータの開発
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23780258
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡安 崇史 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (70346831)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 耕うんシミュレータ / プラウ耕 / ロータリ耕 / 最適耕うん / 三次元個別要素法 / パラメータ同定 / 計算力学 |
Research Abstract |
近年では,農作業の省力化や環境保全型農業への関心の高まりから,省耕起,浅耕法,部分浅耕法などの新しい耕うん技術が多数開発され実用化されている.これらの耕うん技術は実機試験や栽培試験等によってその有効性が実証されつつあるが,耕うんメカニズムひいてはプロセス全般を解明するまでには至っていない.本研究では,三次元個別要素法を用いた耕うんシミュレータの開発により,耕うん作業時の土壌の切削,破砕,反転,投てき現象を再現するとともに,既存の耕うん技術による土壌環境改善効果の検証ならびに耕うんメカニズムの解明,ひいては新たな耕うん技術・装置の開発に寄与し得る基礎データの収集を行うものである. 23年度においては,まず,三次元個別要素法による土壌の力学挙動表現に不可欠となる土壌の剛性,土壌粒子間の粘着力および結合力の推定を行った.具体的には,個別要素法における粒子間バネ定数,粘性減衰係数,摩擦係数に加え,土壌塊の表現に必要となる粒子間結合バネ定数を,過去に実施した圃場土壌の土質試験デーならびに国内外の論文等の実測結果を参考に同定を行った.一方,九州大学附属農場が保有するはつ土板プラウと所属研究室が保有する小明渠作溝用サイドディスクを採寸し,これらの三次元数値モデルの作成を行った.さらに,サイドディスクのモデル化に関しては,本研究費で購入した三次元レーザスキャナを用いた三次元数値モデルの作成も試みた.以上のデータを用いて耕うんシミュレーションを行った結果,はつ土板プラウに関しては,(1)プラウ面に作用する各分力値が文献値と同様の傾向で予測できること,(2)土壌特性の違いが土壌の反転性に及ぼす影響を評価できることなどを示した.他方,サイドディスの解析では,ディスク取付角度の違いが作溝特性に及ぼす影響を評価できる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度にロータリ耕うんの試験を行う予定であったが,使用圃場の手配と耕うんシミュレータの開発に予定した以上の時間を要したため,次年度に行うこととした.このため,23年度では,けん引式耕うん作業であるプラウによる耕うん現象の解析を優先して進めた.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度では,九州大学構内実験土槽において耕うん試験を実施する.解析では,土壌踏圧シミュレータと耕うんシミュレータ間でのデータ交換をスムーズに行えるようにするためのインターフェースプログラムの開発も行う.次いで,23年度に作成した耕うん機器の三次元数値モデルと土壌モデルを上記解析コードへ導入し,三次元耕うんシミュレーションを実施する.同結果は,耕うん試験データと比較・照査することにより,その妥当性を検討する.さらに,耕うん条件(速度,耕うん幅・深さ),土壌条件(砂質土壌,シルト質土壌,粘性土壌),耕うん装置の形状等を種々変えた耕うんシミュレーションを実施することにより,耕うん条件の違いが耕うん時の土壌内部の破壊や土壌構造の再構築に与える影響を把握する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
耕うん試験で使用するデータ計測関連の消耗品購入に使用する.さらに,現有の三次元個別要素解析プログラム(PFC3Dver4.0,Itasca)の計算速度を増強させるため,同プログラムのバージョンアップを実施する.本研究費は,そのバージョンアップライセンス費用として計上した.
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Research Products
(3 results)