2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23780261
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
村松 良樹 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (60328549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 食品 / 乾燥 / 物性 / 熱物性 / テクスチャー / 予測モデル |
Research Abstract |
本研究の最終目的は,低コストで安全と高品質を保持した農水産物の最適乾燥方法ならびに乾燥食品を確立・開発することである。そのための基礎として,(1)農水産物を数種類の方法で乾燥させ,熱・水分移動機構を理論的に把握する,(2)操作条件と品質特性との関係を定性的且つ定量的に把握する,(3)乾燥過程における物性変化を測定し,これら値の予測モデルの構築やデータベース化を図る,(4)「(1)~(3)」に基づき乾燥シミュレーションを行う,(5)官能評価や組織構造観察による乾物の評価,また,微生物試験や投入エネルギー・コスト計算も行い,乾燥方法と品質との関係を総合的に検証する。 平成23年度は,農産物試料として米飯や豆類,サツマイモを主として用い,これらの乾燥実験を実施した。具体的には,本年度は,熱風乾燥法,減圧乾燥法,マイクロ波加熱乾燥法による各試料の乾燥特性を測定した。また,試料のテクスチャー測定も行って,乾燥処理法と力学特性との関係を調べた。測定結果の一例として,米飯の乾燥に関しては,熱風および減圧乾燥法双方において,試料の乾燥速度は,温度が高いほど速く,含水率の減少とともに減少する傾向が得られた。さらに試料の含水率変化を予測する乾燥モデルを把握し,乾燥速度定数の温度依存性も定量的に把握した。また,米飯のマイクロ波加熱乾燥は恒率乾燥期間と減率乾燥期間から構成されることが明らかにした。 そのほか,乾燥操作に関連する物性として熱物性値を非定常プローブ法により測定した。試料としては水産物を中心にサツマイモ,ニンジンなどの野菜も用い,同条件におけるこれらの試料の3種類の熱物性値;熱伝導率,熱拡散率,比熱を同時に得た。これらの熱物性値と温度や水分との関係を調べ,これらの熱物性値の推算モデルを把握した。さらに,得られた熱物性値を用いて,熱移動現象に関する数値計算も試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいるが,一部,実験器具や機器・装置の不具合や故障などがあり,研究の進捗がやや遅れている。得られたデータの整理・解析に関してはおおむね順調に進んでいる。数値計算に関しては,まだまだ解決すべき課題がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は引き続き試料を変えて前年度と同様の乾燥実験を実施するが,今年度は真空凍結乾燥や真空マイクロ波加熱乾燥,冷風乾燥も実施する。数値解析に関しては,数値解析ソフトのオプションモジュールを追加購入するなどして,試料の熱や物質の移動に関する数値計算を試み,熱と水分の移動機構を理論的に把握することを試みる。その他,テクスチャーアナライザーを用いて試料のテクスチャーを測定し,これらの値を組織構造との関係を明らかにするとともに,この結果を踏まえ乾燥中に試料表面に発生するケースハードニング防止策を検討する。乾燥特性に関して得られた知見や乾物の品質評価などの成果を取り纏めるとともに,成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は用いる試料の種類が当初想定していたよりも少なかったため,次年度に使用する予定の研究費が生じた。そのため,この予算も含め,試料をはじめ,機材などの物品費や旅費(国内出張,国外出張)に研究費を使用予定である。
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