2012 Fiscal Year Annual Research Report
畜産食品の品質・機能向上を目的としたプロテオミクスによるバイオマーカー探索
Project/Area Number |
23780268
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
石川 伸一 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (00327462)
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Keywords | 畜産食品 / プロテオミクス / バイオマーカー |
Research Abstract |
鶏卵の加工特性として凝固性、気泡性および乳化性があげられる。しかし、鶏卵の品種や貯蔵期間、加熱殺菌条件が気泡性や乳化性に影響し、最終製品の品質にばらつきが生じることが明らかとなっている。卵製品の品質の安定化、さらに品質や機能向上のためには、原材料のばらつき、貯蔵による成分の変化、加工による成分の変化を網羅的に把握し、食品としての基礎的な知見を集積しておくことが大切である。本研究では特に、鶏卵卵白を研究対象とし、タンパク質のi)品種間の違い、ii)貯蔵による変化、およびiii)加工による変化を質的・量的な観点で網羅的にプロテオーム解析を行った。最終的には集積したデータを比較解析し、顕著に変化する「マーカー」タンパク質を探索することを目標とする。蛍光二次元電気泳動(2D-DIGE:2-Dimensional Difference Gel Electrophoresis)法を用いてマーカーの探索を行った。i)鶏卵の品種間ではメジャータンパク質の大きな違いはないことが示唆された。ii)貯蔵によって生じたスポットの等電点がオボトランスフェリンと同じであることから、オボトランスフェリンの部分分解物である可能性が示された。iii)オボムコイドおよびオボトランスフェリンの等電点が低くなる要因として、タンパク質の翻訳後修飾の変化や脱アミド化などが考えられた。高温での加熱処理によりアミノ酸残基の側鎖の構造が変化したと推測される。今後は、微量タンパク質にも着目した解析を行い、新たなマーカーの探索を行うことが研究課題である。これにより明らかにされたマーカーを用いることで、食品の品質評価や安全性評価の開発、品質向上技術への活用、さらに、新規機能性食品の開発などに大きく寄与することができると考えられる。
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Research Products
(4 results)