2012 Fiscal Year Research-status Report
免疫学的・栄養学的要因から提案するわが国の養豚生産システムに適した離乳時期
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23780269
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
塚原 隆充 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 研究員 (90562091)
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Keywords | 離乳 / 豚 / 消化管 / 免疫 / 栄養 / 遺伝子 / 発達 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に剖検した仔ブタの小腸粘膜免疫関連遺伝子活性,腸管内容物中免疫グロブリン濃度,及び小腸病理組織学的検査などを中心に解析を行った。即ち,母乳のみを摂取した1, 7, 14, 21, 28及び35日齢(1S, 7S, 14S, 21S, 28S, 35S),及び14, 21又は28日齢で強制離乳させた7及び14日後に3-4頭ずつを剖検した。 ①空腸及び回腸粘膜のリンパ球走化関連遺伝子(5種)発現:殆どの遺伝子が同じ傾向を示し,初生から発現が亢進し空腸では14Sで,回腸では21Sで最大となった。強制離乳で発現量が低下したが,空腸では28日齢以降の離乳で低下率が小さかった。②回腸及び盲腸内容物のイムノグロブリン濃度:総IgA濃度は初生から漸次減少し,どの離乳日齢でも離乳によって低値を示したが,盲腸総IgG濃度は逆に離乳で高値を示した。③小腸絨毛高さ:離乳日齢によって小腸絨毛は大きく影響を受けた。14日齢離乳7日後は,ほ乳継続豚よりもさらに絨毛は短くなり,小腸前半で顕著であった。その後離乳後14日を経過しても絨毛萎縮は回復しなかった。21日齢離乳豚の7日後でも前半は絨毛萎縮が顕著に認められたが,14日後には回復傾向が認められ,小腸後半では同日齢のほ乳豚よりも絨毛がむしろ伸張した。28日齢以降ではさらに離乳の影響は軽微になり,離乳後7日でも小腸後半で絨毛は伸張した。④回腸パイエル板断面積:14日齢離乳では離乳後パイエル板は萎縮したが,21日齢以降は一時的な萎縮は認められるものの,その後成長に伴ってリンパ装置の発達が確認できた。 以上などの結果から,免疫学及び病理組織学的な観点からも離乳時期は少なくとも21日齢以上,出来れば28日齢迄哺乳させることが産仔にとって好ましいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は多くの新知見を得ることが出来,学会にて成果報告も4回行うことが出来た。とくに,遺伝子解析の結果と病理組織的解析の結果が一致したことが最大の知見であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定では,離乳時期を更に詳細に決定すべく,離乳時期を細かく区切った仔ブタの剖検を行う予定にしていたが,予想以上に新知見を得ることが出来たため,研究計画を変更し,初年度に剖検した仔ブタの解析をさらに進める。即ち平成25年度は,腸内細菌と生体との相互作用を検討するため,TLR2及び4の腸管粘膜での発達と離乳による変化について検討を行う。また,当初予定していた尿中短鎖脂肪酸濃度測定法を確立できた。本年度は,尿を含め,血液中の短鎖脂肪酸濃度と腸管内容物との相互関係についても解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ブタTLR2及び4の抗体作製,及びそれらを使用したウェスタンブロッティング及び免疫染色実施のための消耗品,また短鎖脂肪酸濃度測定用の消耗品など,消耗物品費に殆どを費やす。また,学会発表及び論文投稿のための費用についても,研究費で充当する。
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