2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780273
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
萩 達朗 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産物研究領域, 研究員 (00510257)
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Keywords | 微生物 / 乳腺上皮細胞 / マイクロアレイ / 牛乳 |
Research Abstract |
本研究では、病原菌以外の牛乳中の細菌がウシ乳房に与える影響を解明するため、熱処理した乳中細菌優占種(計5株)をBMECに接種後、ウシ乳腺上皮細胞(BMEC)の遺伝子発現量変化を定量PCRで測定した。なお、前年度行ったマイクロアレイの結果を踏まえ、炎症性サイトカイン(IL-1βとIL-8)と免疫に関わると推測されるG-protein signaling pathway関連遺伝子のうち、発現変動の大きかった上位5遺伝子を標的とした。 定量PCR解析の結果、炎症性サイトカイン遺伝子については、グラム陰性菌(Stenotrophomonas maltophilia、Chryseobacterium sp.、Serratia sp.、Pseudomonas sp.)の接種によって、10倍以上発現量が上昇したが、グラム陽性菌(L. lactisおよびMicrobacterium sp.)では1.5~2倍程度で、グラム陰性菌の方が有意に炎症性サイトカインを強く誘導することがわかった。一方、グラム陽性菌によってG-protein gamma 4(GNG4)の遺伝子発現量が2倍程度上昇したが、グラム陰性菌では遺伝子発現量の有意な変化は観察されなかった。また、G-protein coupled receptor 77(GPCR77)遺伝子の発現量は、L. lactis、Microbacterium sp.、Stenotrophomonas maltophilia、Serratia sp.を接種した場合のみ1.5~2倍程度上昇し、菌によってG-protein signaling pathwayに対する影響が異なることが明らかとなった。病原菌以外にも乳中細菌が乳房の免疫系を刺激することを明らかにした本研究内容は、乳房健康管理の観点から重要な知見である。
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