2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23780281
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
谷 哲弥 近畿大学, 農学部, 講師 (70319763)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リプログラミング / 初期化 / iPS細胞 / 体細胞クローン / 転写活性化領域 / 4-Oct |
Research Abstract |
完全に分化した体細胞に転写因子Oct4,Sox2,Klf4,c-Mycを導入することにより多分化能を有するiPS細胞へと直接初期化できるが、未だその効率は低率であるためその分子機構を解析するのが困難である。そこでまずiPS細胞樹立の効率化を初年度の目的とした。これまで申請者はiPS細胞への初期化を生化学的に解析した結果、Oct4タンパク質の標的遺伝子領域への結合力が極めて重要であり、骨格筋マスター転写因子MyoDの転写活性化領域をOct4に付加するとその結合を強め効率的にまた均一にiPS細胞へ初期化されることを見いだした。そこでさらなる強力な転写活性化領域をスクリーニングするため、ヘルペスウイルス由来VP16、HIV由来TAT、T細胞白血病ウイルス由来Tax、各細胞のマスター転写因子であるC/EBPαやNgn3、 Pdx1、 Mafa、p53などから転写活性化領域をOct4に付加し、Sox2,Klf4,c-Mycとともにマウス胎児線維芽細胞へ導入しiPS細胞への効率を比較検討した。その結果、ヘルペスウイルス由来VP16の活性化領域でのみ効果的であったため、その活性化に関わる領域を詳細に検討した。その結果、わずか11aa(DALDDFDLDML)のみをOct4に付加するだけでiPS細胞への効率が50倍以上になった。さらにiPS細胞樹立にフィーダー細胞を必要としないことも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞に有効な転写活性化領域のスクリーニングとiPS細胞樹立の最適化は順調に進んでいるが、少量サンプルを用いた生化学的解析法が未だ確立できていない。少数サンプルをターゲットにしていることから、データのばらつきが多く安定的な結果を得るに至っていない。そのためには、より高感度な試薬の選定及び詳細な条件検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のiPS細胞の結果を今年度の計画であるクローン胚を用いる実験に応用することで、転写因子型初期化と卵子型初期化の分子機構の違いを探る。そのためには少量サンプルの解析が必須であるため、昨年度確立できなかった解析法の早急の改善と確立を目的として、より高感度な試薬と機器の選定と条件検討により、その問題を克服する予定である。マウス及びブタの体細胞クローン胚作成技術はすでに確立済みであるため、生化学解析のためのサンプル採取を予め行なっていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
少量サンプルを用いた生化学的解析法のための試薬類で大部分を使用する予定である。また質量分析やマイクロアレイについては外部委託解析により、詳細な解析もあわせてする予定である。
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