2011 Fiscal Year Research-status Report
低血糖をシグナルとした下垂体における性腺機能抑制メカニズム
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23780282
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
森山 隆太郎 近畿大学, 理工学部, 講師 (30411573)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 下垂体 / 生殖 / 性腺機能 / 性腺刺激ホルモン / GnRH / 栄養 / グルコース / AMPK |
Research Abstract |
栄養は性腺機能を制御する因子の1つである。しかし、栄養状態を伝えるシグナル分子やその受容メカニズム、さらにはその情報を基に性腺機能を制御する神経伝達メカニズムについては未だ解明されていない。本研究の最終目的は低血糖をシグナルとした性腺機能抑制メカニズムが下垂体の性腺刺激ホルモン産生細胞 (ゴナドトロフ) に存在することを明らかとすることにある。本年度はゴナドトロフにおける性腺機能制御に関与する低血糖の受容メカニズムを検討する目的で実験を行った。 AMPK活性化剤、5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside (AICAR) をゴナドトロフ株化細胞であるLβT2細胞に暴露した結果、黄体形成ホルモン (LH) および卵胞刺激ホルモン (FSH) のmRNA発現量が暴露前に比べて減少傾向を示した。AMPKは細胞内ATPレベルの低下によりリン酸化され、タンパク質合成の抑制などを引き起こす酵素である。本結果は低血糖による細胞内ATPレベルの低下がAMPK経路を介して性腺刺激ホルモン合成を抑制するメカニズムが下垂体のゴナドトロフに存在することを示唆する。次年度からは、ゴナドトロフのAMPK経路が性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) 刺激によるLHやFSH分泌に影響を与えるか否かを検討する予定である。そのためのホルモン測定に必要な抗体等の準備は今年度中に行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究より、ゴナドトロフにおける低栄養状態の受容メカニズムが明らかになった。抗体作製の遅れにより実験の順序が23年度と24年度で逆になってはいるが、24年度に行う予定であった実験3で上述した重要な結果を得ている。また、遅れていた抗体作製にも目処がたち、来年度からはホルモン測定法を用いた実験1と2ができる。以上より順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
低血糖が性腺刺激ホルモン分泌に与える影響、ならびに性腺刺激ホルモン合成を抑制する細胞内メカニズムを解明する実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験順序が23年度と24年度で逆になったことで、今年度使用した消耗品費が減り、次年度以降に使う消耗品費が増えると予想されるため、研究費を繰り越すことにした。
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