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2011 Fiscal Year Research-status Report

ウシ妊娠におけるエンドセリン1のインパクト:胎盤機能局所調節機構への関与

Research Project

Project/Area Number 23780284
Research InstitutionNational Institute of Agrobiological Sciences

Principal Investigator

林 憲悟  独立行政法人農業生物資源研究所, 動物生産生理機能研究ユニット, 任期付研究員 (70563625)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywordsウシ / 胎盤 / エンドセリン1 / 血管作動性物質 / 妊娠
Research Abstract

ウシ妊娠期間中の子宮動脈血流変動と血管作動性物質の内分泌動態の相互関係を検証するため、黒毛和種雌牛に胚移植を施して受胎させ、採材を継続している。また、エンドセリン-1(ET-1)のウシ胎盤機能の局所調節機構における生理的役割を、外植片培養を用いることにより生体外で検証した。胎盤におけるET-1系のmRNA発現が最も高い、妊娠約100日目のウシから採取した胎盤を裁断し、細胞培養ディッシュ内に設置したポリエステル製微孔膜上に静置した。馴化培養後、対照区、ET-1単独(1nM, 10nM, 100nM)、ET-1 (100nM)+ET-1受容体Aアンタゴニスト(BQ123, 1000nM)、ET-1(100nM)+ET-1受容体Bアンタゴニスト(BQ788, 1000nM) をそれぞれ添加した無血清培地に交換して12時間培養した。胎盤特異的因子である胎盤性ラクトジェン(PL)、妊娠関連糖タンパク質1およびプロラクチン関連タンパク質1、血管作動性物質である内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)およびアドレノメデュリン(ADM)、血管新生因子である血管内皮増殖因子(VEGF)、アポトーシス調節因子であるカスパーゼ3およびBAXの胎盤外植片におけるmRNA発現を解析したところ、ET-1 100nM添加区において、PL、eNOS、ADMおよびVEGF発現の増加が見られた。このうち、eNOSはET-1+BQ788添加区で、VEGFはET-1+BQ123添加区ではmRNA発現が刺激されなかったことから、これらの因子はそれぞれET-1受容体AおよびET-1受容体Bを介して発現が調節されている可能性が示された。今後、マイクロアレイ法を用いて遺伝子発現プロファイルを網羅的に解析し、ウシ胎盤においてET-1により特異的に制御される細胞間および時系列間の遺伝子ネットワークを特定する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、ウシ生体から摘出した胎盤組織試料をex vivo(体の外で)解析する手法で進められている。摘出胎盤組織を使った研究は、「培養下」ではなく、「体外で」解析するスタンスであり、この方法論に拠ることで、培養中のアーティファクトを回避して、新鮮な組織で実験する事が可能になった。本年度は、ET-1がeNOS、ADM、VEGFおよびPLの発現を促進的に調節している事が見いだされ、「ウシ胎盤に発現する血管作動性物質」の意義付けに一歩近づいた。胎盤外植片培養実験は本年度で完了しており、今後、マイクロアレイ法を用いた遺伝子発現プロファイルの網羅的解析により、ウシ胎盤においてET-1により調節される遺伝子ネットワークの詳細が明らかとなることが期待される。また、ウシ妊娠期間中の子宮動脈血流変動と血管作動性物質の内分泌動態の相互関係を検証するため、供試牛を受胎させてサンプリングを継続している。今後、子宮動脈の血流量や血流速度の変動の解析と血管作動性物質の濃度変化を測定することで、妊娠中のウシ生体における、血管作動性物質の内分泌動態の変化と子宮動脈血流像の変動との関連が明らかになると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度からの継続として、妊娠中のウシ生体における血管作動性物質群の内分泌動態の変化と子宮動脈血流像の変動との関連を決定するため、ウシの妊娠期間中における、子宮動脈の血流量や血流速度の変動の解析と血管作動性物質の濃度変化を測定する。また、胎盤外植片培養実験サインプルのマイクロアレイ法による遺伝子発現プロファイルの網羅的解析と、培地中のステロイドホルモン濃度および血管作動性物質濃度を測定する。これにより、ウシ胎盤においてET-1により特異的に制御される細胞間および時系列間の遺伝子ネットワークを特定する。さらに、次年度において、ウシ生体レベルでの妊娠制御メカニズムに胎盤局所 ET-1 が及ぼす影響を検証するため、妊娠中のウシ生体の胎盤にET-1を直接感作させ、全身の内分泌動態の変化と胎盤局所の遺伝子発現プロファイルの変化の解析を試みる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用予定の助成金は、本年度中の投稿と受理を予定していた現在査読中および投稿準備中の原著論文があるため、これらの論文投稿のために計上した「英文校閲料」および「論文投稿料」が未使用となり生じたものである。これらの論文は次年度での受理を目指す。次年度は、物品費として、血中および培養液中の血管作動性物質濃度を測定するための、「血管作動性物質測定キット」および時間分解蛍光法によるステロイドホルモン測定のための「ホルモン測定試薬」に使用する。また、マイクロアレイ解析を行うための「マイクロアレイ用試薬」および「遺伝子発現解析用試薬」が必要となるとともに、ウシ生体実験に必要な、「生体実験用試薬」および「外科手術用器具」を計上する。また、成果を公表するための「学会発表費」、論文投稿のための「英文校閲料」および「論文投稿料」を計上する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2011

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ウシ妊娠期間中の子宮および胎盤におけるアドレノメデュリンの遺伝子発現動態と局在の解析2011

    • Author(s)
      林憲悟
    • Organizer
      第104回日本繁殖生物学会大会
    • Place of Presentation
      岩手大学(岩手県)
    • Year and Date
      2011年9月16日
  • [Presentation] Placental expression and localization of adrenomedullin system during bovine pregnancy2011

    • Author(s)
      Ken-Go Hayashi
    • Organizer
      2nd World Congress on Reproductive Biology
    • Place of Presentation
      ケアンズコンベンションセンター(オーストラリア)
    • Year and Date
      2011年10月11日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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