2012 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ黄体形成を促進する局所の免疫細胞群とその調節機構の解明
Project/Area Number |
23780288
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
白砂 孔明 自治医科大学, 医学部, 助教 (20552780)
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Keywords | ウシ / 黄体 / 免疫細胞 |
Research Abstract |
乳牛は妊娠し分娩することで初めて乳生産が可能になり、妊娠成立は“経済動物”である乳牛において重要な事象である。先進国では乳量を重視した育種改良により乳牛の高泌乳化が達成された。その代償として分娩後の母体の免疫機能が大幅に減退し、卵巣機能の異常(黄体機能不全・卵胞嚢腫など)や早期胚死滅が多発した結果、人工授精後の受胎率は40%程度に低下した。分娩後の卵巣機能を正常に稼動させ受胎率を改善することは、酪農家の収支の改善、延いては安定的な食糧供給に繋がると考えられる。 申請者は今回の一連の研究から、好中球・マクロファージ・リンパ球などの免疫細胞がウシ黄体形成を調節する可能性を示すことができた。初期黄体は様々な免疫細胞遊走因子を産生することで積極的に免疫細胞を動員し、動員された免疫細胞は黄体細胞からのプロジェステロン産生を刺激することに加え、血管新生やリンパ管新生を刺激する可能性を見出した。 今後も黄体機能における免疫細胞の役割についての研究を進めることで、分娩後の免疫機能減退による黄体機能不全の対応策への展望を得ることを目指す。将来的に、免疫細胞を人為的に制御し、黄体機能・形成不全に陥らない、妊娠可能な黄体が作出されれば、繁殖問題による淘汰牛数の減少や乳生産を介した食の安定供給に貢献できる可能性がある。
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