2011 Fiscal Year Research-status Report
骨リモデリングを調節するコンドロイチン硫酸種の同定と機能の解析・骨量の制御
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23780293
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
保坂 善真 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00337023)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨リモデリング / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / 分化 / コンドロイチン硫酸 / CS-E / CS-0 / ハウシップ窩 |
Research Abstract |
実験初年度は、破骨細胞の分化への関与が濃厚と考えられるコンドロイチン硫酸(CS)種を選定し、その存在下で破骨細胞に分化誘導し、得られた細胞の応答と性状を比較解析し、破骨細胞への分化を強力に抑制する糖鎖(CS)を決定するとともに、分化誘導した細胞の性状を解析した。 CS-A,B,C,DおよびEの存在下で破骨細胞前駆細胞であるRAW264細胞を破骨細胞に分化誘導したところ、CS-Eを加えた細胞は破骨細胞への分化(多核かつ酒石酸耐性酸性フォスファターゼ:TRAP陽性を指標)が有意に抑制されていた。また、同時に行ったpitアッセイでは形成されるハウシップ窩数はおよび面積が低値を示した。CS-Eが破骨細胞へ分化を強力に抑制することが明らかになった。 一方、CS-0(硫酸基修飾がないCS鎖)の存在下で破骨細胞への分化誘導を試みたところ、誘導した細胞は多核でTRAP陽性のものが多数あったが、ハウシップ窩の形成は有意に抑制されていた。したがってCS-0は破骨細胞の形態的な分化には影響しないが、機能的な分化、すなわち骨吸収機能の発現は抑制する因子であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した内容におおむね添って実験を行い、CS-Eが破骨細胞の分化の抑制活性を具備していることを解明できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CS-EおよびCS-0を間葉系幹細胞に作用させ、骨芽細胞に分化させる。骨芽細胞が発現・産生する破骨細胞分化関連因子の発現動態をマイクロアレイで網羅的に解析し、CSが骨芽細胞の分化および機能発現に及ぼす影響を解明する。マイクロアレイ解析に不具合が生じた場合は、CSの影響が今まで解明されていない主要因子にターゲットを絞り、産生・分布の変動を解析することで解明する。加えて、破骨細胞分化に関連するリガンドや受容体、基質とCS-EおよびCS-0との結合能を解析しこれらCSの破骨細胞分化での作用部位を明らかにする予定である。 さらには、CSによって誘導される骨芽細胞活性の亢進と破骨細胞の分化抑制作用を応用して、骨増量を試みる。骨粗鬆症モデル動物を作成し、動物体内にCS含有ミクロスフェアを注入し、骨中でCSが惹起する反応を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費は、骨芽細胞分化を解析する試薬(抗体やELISAキット)、細胞培養の関連器具、糖鎖結合アッセイのための試薬、論文別刷り等の購入に充てる予定である。旅費は、本研究で得られた研究成果の発表および最新知見の収集のために国内学術集会への参加を予定している。また、研究成果を学会誌に投稿するための費用も計上している。
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Research Products
(3 results)