2011 Fiscal Year Research-status Report
新規生理活性ペプチドの発見と応用ーモデル生物を利用してー
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23780297
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井田 隆徳 宮崎大学, IR推進機構, 助教 (00381088)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生理活性ペプチド / オーファンGPCR / モデル生物 |
Research Abstract |
生理活性ペプチドは幅広い生理現象に深く関わっており、その研究は科学的な重要性とともに副作用が少なく新たな薬効を持った医薬品につながることが期待されている。すなわち新しい生理活性ペプチドを発見することは新たな生理機能の解明のみならず創薬へとつながる。本研究の目的は、新たに発見したショウジョウバエ新規生理活性ペプチド、idalin-1, idalin-2, dRYamide-1, dRYamide-2, trissinの情報を元にそのペプチドホモログを、ヒト・家畜から探索し、それがどのような生理作用を有するかを明らかにする事である。また、これらペプチドに対する遺伝子組換えショウジョウバエを作成し、種々の疾患モデルショウジョウバエを作出することを目的とした。当該年度はショウジョウバエにおいて発見した新規生理活性ペプチドの生化学的解析、生理的解析を行い、論文として2報、報告した BBRC : 2011a, 2011b)。さらに研究を進めた結果、興味深いことにショウジョウバエdRYamide-1,dRYamide-2の受容体に対してホ乳類ニューロペプチドY (NPY),ニューロペプチドFF (NPFF)は作用するが、逆にホ乳類NPY, NPFF受容体に対してはショウジョウバエdRYamide-1, dRYamide-2は作用しなかった。しかし、dRYamide-2をマウス、ラットに投与したところ、摂食行動の抑制、血圧、心拍数を増加させた。このことは、dRYamideに似たペプチドがホ乳類に存在し、NPY, NPFF以外の受容体に対して作用し機能を発揮している可能性が示唆された。今後、dRYamideが作用するホ乳類受容体を明らかにすることにより未知の生理活性ペプチドを発見するべく、研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 発見した5個のショウジョウバエ新規生理活性ペプチドについて、摂食調節、脂肪代謝制御への関与を中心に、生理機能を明らかにする。:dRYamide-1, dRYamide-2はクロキンバエにおいて摂食行動のモチベーションと考えられている吻伸展反応を強力に抑制すること、逆にidalin-1は強力に促進すること、またそれぞれの反応は吻伸展反射を更新あるいは抑制する臭いに拮抗して作用することを見いだした。(2) それぞれのペプチドについての過剰発現系、ノックダウン系の遺伝子組換えショウジョウバエを作出し、(1)で明らかにした生理機能のメカニズム解明を目的としたモデル生物の樹立を目指す。:5つのペプチドについての過剰発現、発現抑制系のショウジョウバエ作出に成功した。加えて、それぞれの受容体ノックダウン系の作出にも成功した。(3) それぞれのペプチドの情報を元にして、ホ乳類での新規生理活性ペプチドを探索する。:様々な方法用いて試みているが発見には至っていない。(4) さら多くのショウジョウバエ新規生理活性ペプチドを発見する。:発見には至っていない。(5) 線虫(C.elegans)やゼブラフィッシュなど幅広いモデル生物を利用して新規生理活性ペプチドの探索を行う。:線虫におけるオーファンGPCR安定発現細胞株を25種類作成し、線虫さらにブタ回虫ペプチド抽出物を用いて探索を行っている。さらに、データベース上から生理活性ペプチドと思われる配列、96種類を合成し、作用する受容体がないか検討中である。以上のように概ね、研究計画通り進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね研究計画通り進んでいるので引き続き、計画に基づき実施していく。特に、世界中で難航しているホ乳類での新規生理活性ペプチドの探索に重点を置く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
機器類は故障しない限りほぼ現有機器で対応できるため、試薬などの消耗品として物品費を計上している。また、学会発表、共同研究での出張費、ショウジョウバエ飼育における謝金、その他として質量分析などの委託費を計上した。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Identification of the endogenous cysteine-rich peptide trissin, ligand for an orphan G-proteincoupled receptor in Drosophila2011
Author(s)
Ida T, Takahashi T, Tominaga H, Sato T, Kume K, Kumiko Yoshizawa-Kumagaye, Hideki Nishio, Kato J, Murakami N, Miyazato M, Kangawa K, Kojima M
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 414(1)
Pages: 44-48
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification of the novel bioactive peptides dRYamide-1 and dRYamide-2, ligands for a neuropeptide Y-like receptor in Drosophila2011
Author(s)
Ida T, Takahashi T, Tominaga H, Sato T,Kume K, Ozaki M, Hiraguchi T, Maeda T, Shiotani H, Terajima S, Sano H, Mori K, Yoshida M, Miyazato M, Kato J, Murakami N, Kangawa K, Kojima M
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 410(4)
Pages: 872-7
DOI
Peer Reviewed
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