2012 Fiscal Year Annual Research Report
鳥インフルエンザウイルスの感受性を決定する因子の解析
Project/Area Number |
23780304
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡松 正敏 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教 (00507163)
|
Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / 宿主レセプター / ウイルス伝播 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスのレセプター特異性と宿主の糖鎖レセプターの構造を詳細に明らかにし、異なる宿主間伝播に関与する因子を明らかにする目的で本研究を遂行した。インフルエンザウイルスのレセプターはシアル酸を末端に持つ糖鎖である。これらを特異的に認識するレクチンおよび糖鎖を認識する抗体を用いて、さまざまな哺乳動物と鳥のレセプター分布を調べた。鳥インフルエンザウイルスの伝播に重要なカモとニワトリの組織染色を行った結果、シアリルルイスXを認識する抗体を用いて、ニワトリの気管に特徴的なフコースの側鎖を有する糖鎖レセプターが発現していることが明らかとなった。 さらに、インフルエンザウイルスのカモおよびニワトリへの感染性の違いが、ウイルスのヘマグルチニン分子によって、規定されていることを明らかにした。よって、ヘマグルチニンのレセプターへの吸着がカモとニワトリの種間伝播を担っていることが明らかになった。それらヘマグルチニン分子の糖鎖結合特異性を人工合成した糖鎖を用いて調べた結果、ニワトリのウイルスは、先に述べたシアリルルイスX構造を認識していることが分かった。 以上により、本研究で新たにニワトリで発現する鳥インフルエンザの糖鎖レセプターを見出し、ニワトリでよく増殖するウイルスがそれらのレセプターを利用し増殖していることを明らかにした。本知見は、自然宿主であるカモのウイルスが、異なる宿主に感染する機序を明らかにしたということで、家禽の鳥インフルエンザの疾病制御、さらにはヒトへの感染リスクの軽減に役立つ知見である。
|
Research Products
(13 results)
-
[Journal Article] The PB2, PA, HA, NP, and NS genes of a highly pathogenic avian influenza virus A/whooper swan/Mongolia/3/2005 (H5N1) are responsible for pathogenicity in ducks2013
Author(s)
Kajihara M, Sakoda Y, Soda K, Minari K, Okamatsu M, Takada A, Kida H
-
Journal Title
Virol J
Volume: 10
Pages: 45
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] ベトナムの家禽から分離されたインフルエンザウイルスの遺伝子と抗原性の解析2012
Author(s)
西達也, 岡松正敏, 野村直樹, 山本直樹, Hoang NV, Nguyen LV, Chu HD, Tien TN, 櫻井健二, 迫田義博, 喜田宏
Organizer
第60回日本ウイルス学会学術集会
Place of Presentation
グランキューブ大阪, 大阪市
Year and Date
20121113-20121115
-