2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780308
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峰松 健夫 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00398752)
|
Keywords | 創傷感染 / クオラムセンシング / AHL / R蛋白質 |
Research Abstract |
クオラムセンシングは、緑膿菌において病原遺伝子の発現を制御する細菌間情報伝達システムである。緑膿菌の情報伝達物質としてアシル化ホモセリンラクトン(acylated homoserine lactone, AHL)が同定されている。近年、AHLの細菌間伝達を阻害することで病原性の発揮を抑制するという新たな感染予防ストラテジーが注目されている。 本研究では、細菌外でAHLを補足するために、AHLに対する高い親和性と特異性が期待されるリコンビナントR蛋白質(rR蛋白質)の利用を考えた。これまでrR蛋白質の合成は難しいとされていたが、私達は無細胞系蛋白質合成システムによる効率的な合成系を確立している。 rR蛋白質のクオラムセンシング阻害効果を解析するため、緑膿菌をLB培地で培養し、その培養液にrR蛋白質を添加したところ、クオラムセンシングシステムに制御されるToxAやLasIなどの発現が著しく抑制され、rR蛋白質の病原遺伝子発現抑制効果が示された。続いて、全層欠損創に緑膿菌培養液を接種する創傷感染モデルを用い、接種直前にrR蛋白質を緑膿菌培養液と混合する群(rR群)、緑膿菌培養液を接種する群(PC群)、LB培地のみを投与する群(NC群)を設け、接種翌日に創部組織におけるToxA、LasIの遺伝子発現量を比較した。その結果、rR蛋白質の病原遺伝子発現抑制効果は確認されず、rR蛋白質を生体で用いる際には更なる工夫が必要であることが示唆された。 一方、本研究過程においてAHLの創傷治癒促進効果が同定された。本結果をもとに、新たな創傷治癒促進剤の開発にも着手する予定である。
|
Research Products
(7 results)