2012 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン蛋白質相互作用分子群の探索による異常プリオン蛋白質生成機構解析
Project/Area Number |
23780313
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岩丸 祥史 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所プリオン病研究センター, 主任研究員 (20355142)
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Keywords | プリオン / プリオンタンパク質 / N2a細胞 / ラフト / ショ糖密度勾配遠心法 / 神経細胞 / GPIアンカー / 界面活性剤不溶膜画分 |
Research Abstract |
病原体“プリオン”の主要な構成成分は、異常プリオン蛋白質(PrPSc)であり、宿主に発現している正常プリオン蛋白質(PrPC)の立体構造が変換したものである。そのため、PrPCの相互作用分子を同定することは、立体構造変換機構を理解するうえで極めて重要である。申請者はPrPCの相互作用分子群の検索、同定を行なっている。 マウス神経芽腫細胞(N2a細胞)を、HRP標識抗PrPC抗体を用いて標識した。細胞を4℃で界面活性剤を含む緩衝液に懸濁後、ショ糖密度勾配遠心法により分画した。界面活性剤不溶膜(DRM)画分にアリルアジドビオチンを添加し、HRP標識抗PrPC抗体に近接する分子をビオチン標識した(EMARS反応)。標識後、DRM画分中の蛋白質を2次元電気泳動で分離し、HRP標識ストレプトアビジンを用いてビオチン標識蛋白質を検出した。その結果、分子量約22 kDa、等電点がpH8の位置に、1つのスポットが検出された。目的蛋白質を銀染色で検出後回収し、質量分析により同定を行なった。同定された蛋白質は、神経特異的に発現する、微小管再構築調節蛋白質Stathmin2(Stmn2)であった。Stmn2とPrPCが近接して存在することを、1)抗Stmn2抗体を用いた免疫沈降法、2)Proximity Ligation Assay、3)パラフォルムアルデヒドによるクロスリンク法により確認した。Stmn2がPrPSc生成に関与しているか調べるため、プリオン感染N2a細胞においてStmn2遺伝子をRNA干渉により発現抑制し、PrPScの蓄積量の変化を観察した。感染細胞においてPrPSc蓄積量に変化は認められなかった。しかしながら、プリオン病の患者または感染GT1細胞でStmn2の発現が減少していることが報告されており、プリオン病の病態形成にStmn2が関与している可能性がある。
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