2011 Fiscal Year Research-status Report
リフトバレー熱ウイルスL蛋白のロイシンジッパーを介したRNA合成機構の解明
Project/Area Number |
23780314
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
新倉 綾 国立感染症研究所, 動物管理室, 主任研究官 (10392325)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | RiftValleyFever virus |
Research Abstract |
2011年度実績概要RVFVのL蛋白に存在するロイシンジッパー(LZIP)の200、214及び221位のロイシン(L)が、207位と同様にLのRNAポリメラーゼ機能に必須であるか調べた。まず始めに、Lに類似のアミノ酸に変換可能か否か明らかにするために、各Lをバリン(V)変換したミュータント(L200V, L207V, L214V, L221V)、およびコントロールとしてLZIP以外のL(192、および221位)をVにしたミュータント(L192V, L222V)を定法により作成し、RNA複製能をミニゲノムアッセイにて調べた。T7を恒常的に発現するBHK/T7-9細胞にL蛋白、,N蛋白およびミニゲノム(ルシフェラーゼ)をコードするT7プラスミドをトランスフェクションし、ルシフェラーゼ(rLuc)発現量をアッセイキットにて測定した。L200V 及びL207Vの値はバックグランドレベル、L214Vは親株と同等、L221Vは親株の50%であったことから、L200V 及びL207Vはポリメラーゼとして機能せず、L221Vは低下したことが示唆された。ミニゲノムの複製および転写産物に相補的なDIG標識プローブを用いたノーザンブロットにてRNA産物を検出したところ、rLuc発現量と一致してRNA産物が減少していた。以上のことから、200、207、221位のLはL蛋白の機能に必須であり、他のアミノ酸には置換できないことが明らかになった。214位のロイシンについては、他のブニヤウイルスではイソロイシン(I)として保存されている。そこでRVFVのLをL変換したミュータント(L214I)を作成し、ミニゲノムアッセイを行ったところ、rLuc発現量およびRNA発現量に変化はなく、ポリメラーゼ機能を維持していた。よって、ブニヤウイルスのL蛋白の214位はL類似のアミノ酸でも機能することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度は産後休暇及び育児休暇を7ヶ月間(7月4日~1月31日)取得し、研究期間を7ヶ月間延長した。よって当該年度は5ヶ月間の実績である。研究計画1-4のうち、1.ミュータントの作成と各ロイシン残基の重要性の検討について終了した。計画どおり、ミュータントの作成、ミニゲノムアッセイ、ルシフェラーゼアッセイおよびノーザンブロットアッセイを行った。当初の計画ではロイシンをプロリンに変換する予定であったが、より厳密に調べるために、始めに、類似アミノ酸であるバリンへの変換を行いミニゲノムアッセイを行った。結果として、200及び207位はバリンでもポリメラーゼ機能が消失したことから、この位置のロイシンはポリメラーゼ機能に必須であり、非常に重要であることが明確になった。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従って、計画の2.LZIPと相互作用する因子の探索を行う。LZIPがどの蛋白のどの領域と結合するのかを明らかにする。相互作用する相手としてL、L以外の蛋白あるいはL内部が考えられる。L-L 結合、Lと宿主因子の結合、分子内会合について調べるために、免疫共沈降、MC-LS(LCQ)によるペプチド解析とMASCOTによるホモロジーサーチ、およびBIFC(Bimolecular Fluorescene Complement)アッセイをフローサイトメトリーにて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
BIFC(Bimolecular Fluorescene Complement)アッセイではL蛋白自身を検出する必要があるため、抗体の作成を行う。抗原提示性、親水性等を解析し、受託業者にウサギのポリクローナル抗体を依頼する(約30万円)。アメリカウイルス学会参加のために30万円、国内のウイルス学会参加のために10万円必要である。また、研究遂行に必要な消耗品プラスチック製品や試薬、オリゴ等に研究費を使用する。
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