2012 Fiscal Year Research-status Report
リフトバレー熱ウイルスL蛋白のロイシンジッパーを介したRNA合成機構の解明
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23780314
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
新倉 綾 国立感染症研究所, 動物管理室, 主任研究官 (10392325)
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Keywords | RiftValleyFever virus |
Research Abstract |
計画の2にあたるLZIPと相互作用する因子の探索を行った。 1.L-L結合:ロイシンをプロリンに変換したL-Pミュータント、ZIP領域を除いたZIPdelミュータント、L蛋白のN或いはC末端1/3領域のフラグメント等を用い、免疫共沈降法によってL蛋白同士のインタラクションについて調べたが、ZIP領域がL蛋白同士の相互作用に関与している結果は得られなかった。 2.L以外の蛋白: BHK細胞にGFP付加L蛋白(GFP-L)とネガティブコントロールとしてGFP-L(ZIPdel)およびGFPを一過性に発現させ、GFP抗体による免疫沈降しで共沈降した細胞内蛋白を調べた。SDS-PAGEゲルからバンドを単離、MC-LS(LCQ)によるペプチド解析とMASCOTによるホモロジーサーチを行ったところ、ATPdependentRNAhelicase(DDX3X)、Myosin-Ic AP-2complex subunit alphaがGFP-Lと特異的に結合していることを示唆する結果が得られた。とくにDDX3XはLのポリメラーゼ機能に深く関与していることが考えられたので、DDX抗体を入手して結合の確認を行ったが、残念ながら示唆する結果が得られなかった。 3.L分子内会合: BIFC(Bimolecular Fluorescence Complement)アッセイによってN末端領域に存在するZIPがLの内部(特にC末端領域)と相互作用するかを調べた。ZIPdelミュータントを用い、フローサイトにてComplemented Fluorescenceを測定したところ、ワイルドタイプと比較して明らかに蛍光が消失した。この結果は207位のロイシンのみをプロリンに変換した1アミノ酸変換ミュータントでも確認された。 以上の結果からZIPはLのN,C末端領域を介した分子内会合に関与していることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年度までに研究計画1-4のうち1.1.ミュータントの作成と各ロイシン残基の重要性の検討、2.ロイシンジッパーとインタラクションするパートナーの探索について終了した。これまで計画通りに進んでおり、ロイシンジッパー領域内に存在する4残基のロイシンのなかでも、ポリメラーゼ機能における重要性に差があること、ロイシンジッパーはL蛋白の分子内会合に関与していることが明らかになった。最近VSVウイルスでL蛋白の環状構造が明らかになり、本研究の結果は、リフトバレー熱ウイルスでもN-、C-末端領域を介した環状構造を形成してRNA鎖を伸張することを示唆する重要な知見である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り計画書-3のRNA合成機構の解明および-4のロイシンジッパーを介したウイルス抑制の検討を行う。RNA合成機構の解明は、ZIPがウイルスゲノム複製の方向性と関与しているのか、また、転写、とくにCAPbindingへの関与について検討を行う。ロイシンジッパーを介したウイルス抑制の検討については、ZIP領域、あるいは相互作用するC末端領域のフラグメントを細胞内で発現させ、ミニゲノム複製やウイルス増殖を抑制するか否かを検討する。抑制作用の見られたものについてペプチドを合成し、ウイルス抑制効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウイルス抑制の検討を行うためにペプチド合成が必要である。、膜透過性ドメイン(溶解性、等電点、タイトレーションカーブ等を勘案して、配列を決定し、受託業者に合成依頼する(約30万円)。 アメリカウイルス学会参加のために30万円、国内のウイルス学会参加のために10万円必要である。 また、研究遂行に必要な消耗品プラスチック製品や試薬、オリゴ等に研究費を使用する。
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