2012 Fiscal Year Research-status Report
シグナル伝達関連分子に着目したイヌアトピー性皮膚炎の新規治療法開発に向けた研究
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23780321
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柴田 早苗 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (20588917)
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Keywords | 犬アトピー性皮膚炎 / ケラチノサイト / HB-EGF |
Research Abstract |
イヌのアトピー性皮膚炎の免疫病態には、ケモカインであるCCL17/TARCが重要な役割を果たしていると考えられている。イヌケラチノサイトにおいて、CCL17 mRNA転写は主にTNF-αによって誘導されることが明らかになっている。しかしながら,その制御メカニズムは 明らかにされていなかった。そこで、イヌADに対するケモカインを標的とした治療法の開発に向けて、ケラチノサイトにおけるTNF-α誘導性CCL17 mRNA転写の制御メカニズムを明らかにすることを目的に研究をおこなってきた。その結果、イヌケラチノサイト細胞株であるCPEKにおけるTNF-α誘導性CCL17 mRNA転写は、p38によって正に、ERKによって負に調節されていることが示唆された。このことから、研究代表者はERKがイヌAD治療の標的分子として有用となりうると考えた。そこで、本研究では、ADにおいて特異的に発現増加あるいは低下しているERK関連分子をAD新規治療法の候補分子とするために、ADと診断されたイヌの皮膚病変部・非病変部および健常皮膚におけるp38、ERKの活性化およびERKの活性化に関与する分子群の発現を比較検討することとした。この中でも特に、ERKの活性化因子であるEpidermal Growth Factor(EGF)に着目した。当該年度においては前年度と同様に、EGFファミリーのうち、皮膚において重要な役割を果たすと考えられているHB-EGFに着目して研究を実施した。その結果、ヒトHB-EGF抗体を用いたウエスタンブロッティングにより、CPEKはHB-EGFを発現していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では犬の皮膚を用いた研究を基軸にしていますが、飼主がいるアトピー性皮膚炎の犬から皮膚を採材することは困難であり、皮膚が当初の予定通り集まらない現状です。また、日常の小動物臨床業務が想像以上に忙しく、1日のほとんどを臨床に取られているため、研究活動を圧迫している状態です。それに加えて、学部生の卒業研究指導を別のテーマで実施しているため、本研究に当てる時間が限られています。以上のような理由から、研究は遅れていると考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は犬ケラチノサイト細胞株であるCPEKの培養液中に、さまざまなサイトカインを添加した際のEGFファミリー発現を明らかにする。また、イヌ正常皮膚およびアトピー性皮膚炎罹患イヌの皮膚病変部・非病変部におけるHB-EGF発現について検証する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は324,178円であるが、研究は遅れている状態であったため、消耗品の購入が予定より少なくなったためである。次年度には50万円以下の備品や消耗品を購入する予定である。
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