2012 Fiscal Year Research-status Report
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23780325
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
秋吉 秀保 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50420740)
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Keywords | 犬 / リンパ腫 / 分子標的薬 / 抗体薬 / キメラ抗体 |
Research Abstract |
昨年度は、一昨年度にクローニングした犬リンパ腫に対する標的分子の遺伝子断片および遺伝子組換え蛋白を用いて以下の研究を遂行した。 ①ファージディスプレイ法を用いた抗犬標的分子モノクローナル抗体の作製 ①-1抗体ライブラリーの作製:昨年度作製した標的分子の遺伝子組換えタンパクを抗原として, BALB/cマウスに免疫した。免役後, 脾臓を摘出, 脾細胞を分離し, 定法に従ってTotal RNAを抽出した。抽出したRNAからオリゴd(T)プライマーを用いてcDNAを合成した。次にマウスの抗体結合部位である重鎖, 軽鎖の可変領域(Fab)に対する特異的なプライマーを用いたPCRにより抗体遺伝子断片を増幅し、目的とするFab領域の免疫グロブリン重鎖(約700 bp)および軽鎖(750 bp)遺伝子を得た。得られた遺伝子をM13由来ファージベクターに挿入し、Fab遺伝子抗体ライブラリーとした。さらに、構築したFab遺伝子抗体ライブラリーを用いて、1×10の13乗種のの分子種を提示した抗体提示ファージライブラリーを作製可能であった。 ①-2パニングによる抗体ライブラリーのスクリーニングならびにファージクローンの選択 現在、抗原として, 昨年度作製した標的分子遺伝子組換えタンパクを用いて, 固相法によりファージライブラリーから目的とする抗体を提示するファージ集団を濃縮中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的タンパク質の発現状況を明 らかにするとともに、標的タンパク質(Syndecan 4, CD25およびCD20)に特異的に結合する犬化抗体(キメラ抗体)を作製する事により、小動物獣医療における新たな治療法を開発する事を目的として計画した。この目的に沿って、平成24年度は平成23年度に作製した遺伝子断片や組換え蛋白体を用いて、①ファージディスプレイ法を用いた抗犬標的分子モノクローナル抗体の作製、標的分子に対する抗体提示ファージライブラリーの作製、パニングによる抗体提示ファージライブラリーのスクリーニングならびに効率の良いファージクローンの選択を計画した。現在、それぞれの標的分子に対して、Fab遺伝子抗体ライブラリーおよび抗体提示ファージライブラリーを作製が完了し、効率の高いFab遺伝子を選択中である。現在、効率の高いFab遺伝子を探索中であるが、おおむね計画通りに進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は標的分子に対するFab遺伝子抗体ライブラリーおよび抗体提示ファージライブラリーを作製することができた。平成25年度は引きつづき、ライブラリーから効率の高いFab遺伝子を同定し、これを用いて、標的分子に結合するキメラ抗体を作製する予定である。また、平成24年度から継続して、リンパ腫腫瘍サンプルを採集する計画である。リンパ腫サンプルの採集を促進するため、近隣の動物病院 への協力を依頼するとともに、協力者として大阪府立大学 鳩谷晋吾 助教, 古家 優 助教ならびに院生2名の協力を得るとともに病理 学的所見について大阪府立大学 山手丈至 教授に助言をいただく。また、 平成25年度は抗体作製が計画通り進まないときは、ファージディスプレイを用いた抗体作製を長年実施し、造詣の深い大阪府立大学 松山 聡 准 教授、分子生物学的実験手法全般において幅広い経験と見識を持つ大阪府立大学 竹中重雄 准教授と緊密な連携をとる事により、不測 事態が生じないように最大限配慮する。また, 本研究課題の遂行に当たって、研究全般を通じて大阪府立大学 大橋文人 教授ならびに テキサス大学 有泉潔 准教授にアイデアの提供と適宜助言を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は平成24年度から継続して、リンパ腫腫瘍サンプルを採集する計画である。採集したリンパ腫サンプルは病理組織学的検索、遺伝子クローナリティ解析(T細胞レセプターγ鎖再構成あるいは免疫グロブリンH鎖再構成)およびFACSによる表面抗原解析、リ アルタイムPCR法による標的分子の発現解析を計画しているため、外部検査機関での検査費、蛍光標識抗体などのFACS関連の消耗品、 リアルタイムPCR関連の消耗品および近隣の動物病院からのサンプル輸送費として研究費を使用する計画である。 一方で、 平成25年度は平成24年度に作成したFab遺伝子抗体ライブラリーおよび抗体提示ファージライブラリーから効率の高いFab遺伝子を選択し、キメラ抗体の構築を計画している。Fab遺伝子を含む抗犬標的分子キメラ抗体発現用のプラスミドベクターの構築、CHO細胞の培養、作製した抗体の精製に関連する消耗品および実験補助費として研究費を使用する計画である。 これらの過程で得た成果を本年度の日本獣医学会にて発表するとともに誌上発表を計画している。そのための出張旅費ならびに英文 校閲費として研究費を使用する予定でる。
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