2011 Fiscal Year Research-status Report
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23780329
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
青木 卓磨 麻布大学, 獣医学部, 助教 (70582815)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 弁輪縫縮術 / 腱索再建術 / 僧帽弁閉鎖不全症 / 体外循環 / 犬 / 僧帽弁形成術 |
Research Abstract |
僧帽弁形成術(以下、MVP)には腱索再建術と弁輪縫縮術とがあるが、獣医学療域においては詳細な手技の報告は少なく、術者が経験則に基づいて実施しているのが現状である。これらのことから、現在、MVPは一部の限られた施設のみで実施される。我々は、以前に簡便な腱索再建術であるループ・テクニック変法を考案し、報告した。そこで、今回は、簡便かつ客観性のある弁輪縫縮術を開発することを目的とし、これにより、より多くの施設におけるMVPの普及を目指した。 平成23年度の研究実施計画としては、新たな弁輪縫縮術の開発ならびに摘出心および腱索断裂モデルを用いて実際に弁輪縫縮術を行うことにあった。従来法は弁輪の3/4に対して円周方向に牽引を加えるものであったが、犬は弁輪の強度が弱く、裂離する可能性があった。そこで今回、我々は弁輪に対して垂直方向に牽引を加えることで縫縮する方法(Modified kay法;以下、MK法)を考案した。従来法が弁輪全体の3/4を縫縮する手技であるのに対し、MK法では、両側の交連部の弁輪のみに対して垂直方向にマットレス縫合を行い(全体の1/2を縫縮)、中隔尖と壁側尖中央部の一部の弁尖のみを接合面として使用する。 研究計画では摘出心と腱索断裂モデルを使用する予定であったが、自然発症の僧帽弁閉鎖不全症を有する実験ビーグル犬が入手できたことから、平成23年度は摘出心ならびに正常ビーグル犬を用いてMK法の有用性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出心を用いてMK法を適用したところ、弁輪は裂離することなく、56.4±10.8%(n=14)にまで縫縮可能であった。さらに、正常犬に対して実際に体外循環下でMK法を適用したところ、従来法よりも人工物や縫合回数が減じ、かつ狭小な術野でも容易に実施可能であった。 術後の検査では、心エコー検査においてE波の最大血流速度ならびに圧半減時間の延長は認められたものの、カテーテル検査において肺動脈楔入圧は有意な上昇もなく、正常範囲にとどまった。 今回開発したMK法は、縫合回数ならびに人工物を減じることで術後の血栓リスクを減じ、また手術時間を短縮可能だけではなく、従来法よりも簡便であることから、必ずしも高度な技術を必要としない。すなわち、現在のようにごく一部の限られた施設のみだけではなく、より多くの施設で僧帽弁形成術が実施できる可能性がある。今回の成果は2012年6月9,10日で開催される第96回獣医循環器学会で報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究計画では、自然発症の中程度から重度の僧帽弁閉鎖不全症犬(以下、MR犬)を用いて、実際にループ・テクニック変法およびMKを実施する予定であった。しかしながら、平成23年度に自然発症のMR犬が入手可能であった。そこで、平成23年度にすでにMK法ならびにループ・テクニック変法を適用し、良好な成績をえている。そのことから、平成24年度は、引き続き実際のMR犬に対してMK法を実施し、その有用性を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費としては、研究実施計画に従い、自然発症のMR犬に対する体外循環下でのMK法ならびにループ・テクニック変法に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)