2012 Fiscal Year Annual Research Report
犬のアレルギー性皮膚炎における皮膚前駆細胞の同定と病態解析への応用
Project/Area Number |
23780330
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
川原井 晋平 麻布大学, 大学病院, 助教 (20533079)
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Keywords | 皮膚前駆細胞 / アレルギー性皮膚炎 / 犬 / 創傷治癒 / 骨髄造血幹細胞 |
Research Abstract |
犬のアレルギー性皮膚炎における皮膚前駆細胞の動態を明らかにするため、犬において期待されている皮膚前駆細胞マーカー(CD34)について、犬の創傷治癒組織および犬のアレルギー性皮膚炎病変部組織を用いて免疫染色を実施した。健常犬の皮膚においてCD34は、HE染色において血管内皮、汗腺、立毛筋、神経線維、外毛根鞘とみられる部位において陽性となり、表皮において弱陽性を示した。創傷治癒1日目および3日目の創傷部位周囲において、真皮浅層に浸潤する紡錘形~円形からなる細胞に陽性所見を認め、表皮において染色性の増強が示唆されたが、顕著となる違いは判別できなかった。アレルギー性皮膚炎病変部皮膚組織において、創傷治癒組織と同様に真皮浅層に浸潤する細胞に陽性所見を認めたが、肥厚した表皮において顕著な陽性所見を確認することができなかった。以上のことから犬のアトピー性皮膚炎病変部おける表皮肥厚は皮膚前駆細胞の増殖より、ケラチノサイトの増殖による影響が強く表れることが予想された。今後、真皮浅層に浸潤する陽性細胞の同定およびin-situ hybridization法を用いて、より特異性の高い方法による皮膚前駆細胞の動態を解析する必要がある。 犬のアレルギー性皮膚炎における皮膚前駆細胞を解析するIn vitroの系を確立するために、まず、犬の骨髄よりCD34陽性造血幹細胞の分離を磁気カラム分離装置を用いて実施した。骨髄液10mlより、およそ5×10^4個のCD34陽性細胞を分離した。この細胞の多くは単核の独立円形細胞であり、フローサイトメトリーによって純度が80%を超える均一な細胞集団であった。今後、抗体の選定、分離方法を検討して効率のよい方法を確立する。 本研究によって作成した手法は今後、アレルギー性皮膚炎病変部における皮膚前駆細胞の動態に関わる研究に有用であると考えられる。
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Research Products
(8 results)