2011 Fiscal Year Research-status Report
間伐強度が森林土壌の窒素貯留機能に及ぼす影響解明のための微生物学的アプローチ
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23780331
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 千佳 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30413892)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アンモニア酸化微生物 / 森林管理 / 窒素貯留 |
Research Abstract |
本研究では森林土壌の窒素貯留機能に着目し、間伐強度による森林の窒素貯留機能に及ぼす影響について微生物学的視点から解明することを目的にする。具体的には、間伐強度を操作して長い歴史を持つ当大学試験林で、(1)間伐強度の違いによる樹種多様性、(2)土壌間隙水の窒素鉛直濃度分布および(3)窒素循環に関わる微生物群集構造を遺伝子解析法により質的量的に解明することで、(4)森林管理と窒素貯留機能との関係性を解明し、持続可能な森林資源および健全な水資源を確保するための森林管理手法を提案することである。 本年度は、春夏秋において、間伐強度の違う3つのサイトで調査を行った。間隙水の窒素鉛直濃度分布では、強度間伐をした森林において、他に比較して著しい窒素濃度の低下が見られた。また、このときの土壌を表層からコアサンプリングを行った。土壌サンプルからDNA抽出を行い、窒素循環の中で律速段階にあるとされるアンモニア酸化に関わる微生物の検出を目的に、amoA遺伝子を標的としたプライマーを用いてrealtimePCRによってコピー数を明らかにした。その結果、アンモニア酸化古細菌(AOA)については、春夏秋の季節の違い、森林管理の違いによるコピー数への影響は顕著に認められなかった。これまでもアンモニア酸化微生物の中で、AOAは土壌に卓越して存在することが言われており、今回観察された森林管理の違いによる間隙水中の窒素濃度の違いの範囲においては、AOAの存在数に大きな変化が見られるほどの違いとして影響がないと考えられた。今後、アンモニア酸化細菌(AOB)との関係性についても明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災対応などの雑務に追われたこと、また、申請当初に計画していた研究補助の人員を確保できなかったことで、申請時の計画に比べ、やや遅れている。サンプリングは行っており、実験の元となるDNAの抽出はされているので、今後の巻き返しは十分可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度には、研究補助の人員を確保することができたため、前年度の遅れも含めて計画のとおりに進めることができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究費は、主に、分析に必要な消耗品費、また、研究補助に対する謝金、そして成果報告のための旅費と本現場で森林管理の研究を行っているメンバーとのディスカッションのための会合への旅費に使用する予定である。
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