2012 Fiscal Year Annual Research Report
二環性ベータープロリン誘導体のオリゴマーの規則構造制御と機能化研究
Project/Area Number |
23790006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾谷 優子 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60451853)
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Keywords | オリゴマー / シスートランス異性化 / NMR / 三級アミド / 分子動力学計算 / 規則構造 / 二環性骨格 / 分子の架橋化 |
Research Abstract |
(1)堅牢なトランス体アミドヘリックス構造の創製:二環性の7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格の橋頭位に置換基を導入することでトランスアミド体を選択的に取るβ-アミノ酸の合成を達成した。構造解析の結果、ホモオリゴマーはトランスアミド構造をとり、温度変化にも安定なことが分かった。 (2)分子動力学計算による規則構造構築メカニズムの解明:三級アミドで連結されたオリゴマーはアミドのシス体とトランス体の平衡混合物となるため、その溶液構造は複雑となる。本研究者らの報告した三級アミド連結二環性β-アミノ酸オリゴマーは、鎖長依存的な規則構造の形成を示唆する円二色性(CD)スペクトルを示す。この現象を分子動力学計算を用いて調査した。単量体のアミド平衡の実験データを再現する独自のパラメータを設定し、biased sampling法を行い広範囲の構造探索を実現した。結果、鎖長が長くなるにつれてトランスアミド体の比が増えることが示唆された。 (3)架橋によるアミドのシス-トランス平衡の制御:以前本研究者らが報告したシスアミド型のオリゴマーは4量体までNMR解析されているが、より長鎖のオリゴマーに関して、詳細な溶液構造(ヘリックスのピッチや1ターンに要する残基数)を実験的に明らかにする必要があると考えた。ヘリックスのターンをまたいだ架橋化により、近傍の残基やその距離を調べることとした。モデル実験として、2量体の橋頭位の側鎖に末端アルケンを導入しこれを閉環メタセシス反応に付し、種々の残基間架橋生成物を得た。すると、原料の非架橋体では見られなかったトランスアミド体が観測された。これは、架橋によりシス体-トランス体のエネルギー差が減少したことにより、本アミドの動的なシス-トランス異性化平衡が観測されたという興味深い事実を示している。さらに、トランス体の比は架橋鎖が短いものほど高い傾向が見られた。
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Research Products
(18 results)