2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
臼井 一晃 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80553304)
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Keywords | 光制御 / 触媒 / ヘリセン |
Research Abstract |
本研究では、ラセン型を有するヘリセン分子をキラル素子とした光制御型の不斉塩基触媒の開発研究を展開し、従来にない機能性触媒の創製と不斉反応への展開を目指す。計画している研究項目は、①光制御型ヘリセン触媒の創製と物性評価、②触媒の反応性検討と不斉反応への応用研究、および③光制御型ヘリセン触媒の立体選択的合成、の3つである。 本年度は前年度に開発に成功した光制御型塩基性ヘリセン分子の光異性化の検討とニトロアルドール反応の触媒としての評価を行った。光制御型塩基性ヘリセン分子は、特定の光照射(390 nm、490 nm)により可逆的なtrans-cis光異性化が起こることがわかった。4-ニトロベンズアルデヒドとニトロメタンを基質としたニトロアルドール反応に触媒として用いた場合、光照射の有無に関わらず反応が進行することがわかった。原因としてヘリセン分子の塩基部位に当たるピぺリジン環の反転が考えられた。そこで、自由反転を制御するため低温条件でも検討したが、光照射による反応性の制御はできなかった。cis体からtrans体への熱異性化の半減期(室温、28時間)は反応の時間スケールを考慮すると十分な時間であることから、アゾベンゼン部が触媒部位を効果的に遮蔽できていないことが考えられた。
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