2011 Fiscal Year Research-status Report
非活性化型炭素-水素結合の直接的求核的活性化を基盤とする触媒的不斉付加反応の開発
Project/Area Number |
23790014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森本 浩之 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20593867)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 炭素ー水素結合活性化 / 遷移金属触媒 / 不斉反応 / アルキニル化 / 環境調和型反応 / アミノ酸誘導体 / 不斉四置換炭素構築 |
Research Abstract |
本研究は、非活性化型炭素-水素結合の直接的求核的活性化を活用した(1)アルキン及び(2)電子不足型芳香族化合物の触媒的不斉付加反応の開発、及び(3)その各種生理活性物質合成への応用を目的とする。このうち、平成23年度は(1)アルキンの直接的触媒的不斉付加反応の開発において、典型元素添加による求電子剤活性化の検討を行うこと、及び(2)電子不足型芳香族化合物の触媒的不斉付加反応の予備的検討を行い、本反応が進行可能であることを確認することを目標とした。本年度の検討の結果、以下の内容が明らかとなった。まず、(1)については、トリフルオロピルビン酸由来のイミンに対して種々条件検討を行った結果、通常は困難な四置換炭素構築型直接的触媒的不斉アルキニル化反応の開発に成功した。本反応は室温下またはそれ以下の温度で容易に進行し、目的のアルキニル化体を高い収率及びエナンチオ選択性で与えた。これはイミンに対する四置換炭素構築型直接的触媒的不斉アルキニル化反応の数少ない成功例として非常に意義深い。また、本生成物は(3)で予定していた生理活性物質合成における四置換炭素含有アミノ酸誘導体である。一方、より求電子性の低いベンゾイルギ酸誘導体では当初予想されたように反応がほとんど進行せず、典型元素触媒添加による求電子剤活性化が必要である事が判明した。現在、上記のイミンのアルキニル化において得られた知見を活用し、より反応活性の高い典型金属触媒の選定を進めている。一方、(2)については、種々の条件を検討したものの、現在までに満足のいく結果を得られていない。しかしながら、(1)のアルキニル化の触媒検討過程において、酢酸アニオンが末端アルキンのみならず芳香族化合物の炭素―水素結合をも活性化できる事が判明したことから、今後種々のカルボン酸アニオンを有する遷移金属触媒を検討し、反応が進行する触媒系の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、(1)アルキンの直接的触媒的不斉付加反応の開発において、典型元素添加による求電子剤活性化の検討を行うこと、および(2)電子不足型芳香族化合物の触媒的不斉付加反応の予備的検討を行い、本反応が進行可能であることを確認することを目標とした。このうち、(1)については、典型元素触媒を添加しなくとも反応が進行する系の確立に成功した。これは当初の目的とは異なるが、イミンに対する四置換炭素構築型直接的触媒的不斉アルキニル化反応の数少ない成功例として非常に意義深い。加えて、本生成物が(3)で予定していた生理活性物質合成における四置換炭素含有アミノ酸誘導体であることから、この点については当初の予定を超えて達成できたと考えられる。また、本年度得られた結果は、より求電子性の低いベンゾイルギ酸誘導体を検討する上での研究の方向性を定める上で重要な示唆を与えており、評価できると考える。一方、(2)については、現在までに満足のいく結果を得られていないものの、(1)の検討から芳香族化合物の炭素―水素結合を活性化できる条件が示唆された事から、今後の検討によって目的の反応を進行させる事が可能と考える。以上の結果より、現在までの達成度はおおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、(1)前年度の検討を継続して行い、特に求電子性の低いベンゾイルギ酸誘導体において典型元素触媒添加による収率及び立体選択性の向上を目指す。また、(2)触媒的不斉付加反応において、前年度の検討の結果酢酸アニオンが末端アルキンのみならず芳香族化合物の炭素―水素結合をも活性化できる事が判明したことから、種々のカルボン酸アニオンを有する遷移金属触媒を検討し、反応が進行する触媒系の確立を目指す。その後、収率の向上及び不斉反応への応用を試みる。また、必要に応じて典型元素触媒の添加を行い、反応性及び選択性の向上を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究計画を遂行するにあたり、研究用試薬(触媒として用いる遷移金属・典型金属、配位子及び化合物合成用試薬)、精製用の有機溶媒、ガラス器具が研究に必須であり、消耗品費として申請する。さらに、研究の進展に必要な最新の情報を得るため、及び自らの研究結果の発表のために各種学会への参加が必要であり、そのための旅費を各年度に申請する。また、前年度において使用する予定であった研究費の繰り越し分は、主に前年度で不十分であった典型元素触媒及び遷移金属触媒の選定に必要な種々の金属触媒及び配位子を購入するために使用する予定である。
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Research Products
(10 results)