2011 Fiscal Year Research-status Report
C-Hアミノ化反応を活用するグルタミン酸受容体アンタゴニスト活性天然物の合成研究
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23790015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 圭介 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60380854)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カイトセファリン / グルタミン酸受容体 / C-Hアミノ化 / Overman転位 / 鈴木カップリング / ピロリジン / アミノ酸 / 全合成 |
Research Abstract |
研究計画に掲げた合成ルートに従いグルタミン酸受容体アンタゴニスト活性天然物カイトセファリンの全合成研究を行った。鈴木カップリングとOverman 転位による含窒素4置換炭素構築を経てスルファメート中間体を得た。このものにDu Bois らの条件下、C-Hアミノ化を行い環状スルファメートを得、これをTHFに溶解させ、Boc2O, DMAP, Et3Nによりスルファメートの窒素原子をBoc化後、反応系中にNaHと水を加えると瞬時に環化が進行し、カイトセファリンのピロリジンコアが構築できた。続いてアリル位のC-Hアミノ化,4-ヒドロキシ3,5-ジクロロ安息香酸アミドの形成、フェニル基とオレフィンの酸化的開裂、脱保護によりカイトセファリンの全合成を達成した(Org. Lett. ASAP, Doi: 10.1021/ol300431n)。カイトセファリンは複数の研究グループによって全合成が報告されていたが、本合成は既出の合成とは全く異なる方法論に基づく独自の合成法である。又、この合成の過程で新たに見出したピロリジン環合成法に関して、その一般性を検討し、反応点近傍の置換様式に関係なく環化が進行する事がわかった。このようなスルファメートへの求核攻撃による環状化合物合成法は前例がなく、新たな合成化学的方法論を見出せたものと考えている。今後は本反応に基づくより効率的なカイトセファリンの合成法確立および、上記環化反応の更なる適用範囲の拡大について検討する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度においてカイトセファリンの全合成を達成できた。又、新たに見出したピロリジン環合成法に関しても順調に検討を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに見出した環状化合物合成反応に基づくより効率的なカイトセファリンの合成法確立および、本反応の更なる適用範囲の拡大について検討する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後も本研究は現有設備での遂行が可能であると考えており、新たな設備、備品の購入は予定していない。経費は試薬、硝子器具等の消耗品、学会出席のための旅費に充てる。
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