2012 Fiscal Year Annual Research Report
C-Hアミノ化反応を活用するグルタミン酸受容体アンタゴニスト活性天然物の合成研究
Project/Area Number |
23790015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
高橋 圭介 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60380854)
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Keywords | 天然物 / 全合成 / カイトセファリン / C-Hアミノ化 / 複素環 |
Research Abstract |
研究計画に掲げた合成ルートに従いグルタミン酸受容体アンタゴニスト活性天然物カイトセファリンの全合成研究を行った。鈴木カップリングとOverman 転位による含窒素4置換炭素構築を経てスルファメート中間体を得た。このものにDu Bois らの条件下、C-Hアミノ化を行い環状スルファメートを得、これをTHFに溶解させ、Boc2O, DMAP, Et3Nによりスルファメートの窒素原子をBoc化後、反応系中にNaHと水を加えると瞬時に環化が進行し、カイトセファリンのピロリジンコアが構築できた。続いてアリル位のC-Hアミノ化,4-ヒドロキシ3,5-ジクロロ安息香酸アミドの形成、フェニル基とオレフィンの酸化的開裂、脱保護によりカイトセファリンの全合成を達成した。カイトセファリンは複数の研究グループによって全合成が報告されていたが、本合成は既出の合成とは全く異なる方法論に基づく独自の合成法である。又、この合成の過程で新たに見出したピロリジン環合成法に関して、その一般性を検討し、反応点近傍の置換様式に関係なく環化が進行する事がわかった。又、ピロリジン環のみならず、ピペリジン環やテトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環の合成も可能であった。さらにBoc化と環化を同一系中で行う手法も見出すことができた。このようなスルファメートへの求核攻撃による環状化合物合成法は前例がなく、新たな合成化学的方法論を見出せたものと考えている。
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