2011 Fiscal Year Research-status Report
抗がん活性を有するアステロラウリン類の合成とその応用に関する研究
Project/Area Number |
23790018
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡邉 一弘 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10382673)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 抗がん活性 / 全合成 / アステロラウリン類 / 環拡大反応 |
Research Abstract |
本研究課題では、抗炎症作用を有する新しいがん治療薬として期待されており、新規 xenicin 骨格を有するアステロラウリン A, B および D のエナンチオ選択的な合成法を確立し、さらに、これらの合成法を応用し、ヒト大腸がんに対して強力な生物活性を有する新規 tricyclo[4.3.1.01,5]decane 骨格を有するplumisclein A の全合成へと発展させ、その絶対立体配置の決定、並びに構造活性相関研究への展開を目的として行った。 本年度は、アステロラウリン類の xenicin 骨格の構築を検討するため、はじめに B 環部に相当する 9 員環エノンを合成した。すなわち、文献記載の方法に従い、2-メチル-1,3-シクロペンタジオンおよびメチルビニルケトンに対してマイケル付加反応を行い、続く、L-プロリンを不斉源とした分子内不斉アルドール反応により、光学活性なHajos-Parrish類縁体を合成した。さらに、ケトン部の位置および立体選択的な還元を行い、2級アルコール体へと変換後、その水酸基を光延条件下オレフィン部を構築した後、核間位の 3 級アルコール部を TMS 基で保護しシリル体を合成した。得られたシリル体のケトン部に対して、コーリー・バクシ・柴田 (CBS) 還元により、高立体選択的な還元を行いアルコール体を合成した。さらに、フッ化水素トリエチルアミン錯体を用いて核間位のシリル基を除去後、2級水酸基を位置選択的にトシル化することで環拡大反応前駆体を合成した。最後に、NaH存在下、DMF溶媒中、鍵反応である環拡大反応を行いアステロラウリン類の B 環部に相当する望む光学活性な 9 員環エノンの合成を達成した。一方、上部側鎖部に関してもプロパルギルアルコールからアルドール縮合およびRed-Al還元等、5工程を経てアルデヒドセグメントの合成に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アステロラウリン A の光学活性な B 環部の構築は、予定通りに終わっている。また、側鎖ユニットの合成も予定通りに終了している。A 環部の構築および側鎖ユニットのカップリングに関しては、現在、検討段階ではあるが、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策に関しては、すでに B 環部および側鎖部の合成を達成しているので、A 環部の構築および側鎖ユニットの導入を行うことで全合成が可能であると考えている。すなわち、光学活性な 9 員環エノンに対して、立体選択的なマイケル付加、つづく 1 炭素増炭することで A 環部を構築する予定である。さらに、本合成法を応用することでアステロラウリン類と類似した天然物である 9-デオキシイソキセオニド A、ブルミオリド A、B、9-デオキシ-7,8-エポキシキセオニド A、および 9-デオキシ-7,8-エポキシイソキセオニド A の合成に発展させることが可能であり、多くの抗がん活性を有する天然有機化合物を系統的に合成できると考えている。さらに、合成した天然化合物を生物系の研究者に提供することで、日本を起点とした新規抗がん剤の開発に寄与できると考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の今後の研究の推進方策に従い、合成した A 環部である光学活性な 9 員環エノンへに対して、立体選択的な A 環部の構築を行い、最後に側鎖ユニットを導入し全合成を目指す。よって、そのための試薬、溶媒および反応器具などを主として購入する予定である。さらに、研究成果を学術発表、学術雑誌ならびにインターネットホームページなどに掲載し、世界に広く発表するためにも研究費を使用する予定である。
|