2012 Fiscal Year Research-status Report
抗がん活性を有するアステロラウリン類の合成とその応用に関する研究
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23790018
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡邉 一弘 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10382673)
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Keywords | 抗がん活性 / 全合成 / アステロラウリン類 / 環拡大反応 |
Research Abstract |
本研究課題では、抗炎症作用を有する新しいがん治療薬として期待されており、新規キセニチン骨格を有するアステロラウリン A, B および D のエナンチオ選択的な合成法を確立し、さらに、これらの合成法を応用し、ヒト大腸がんに対して強力な生物活性を有する新規トリシクロ[4.3.1.01,5]デカン骨格を有するプルミスクレインA の全合成へと発展させ、その絶対立体配置の決定、並びに構造活性相関研究への展開を目的として行った。 平成23年度には、新たに合成した光学活性な Hajos-Parrish 類縁体から誘導したアルコール体に、水素化ナトリウムによる環拡大反応を鍵工程として光学活性な9員環エノンの合成を達成した。平成24年度は、この光学活性な9員環エノンに対して A 環部の構築と上部側鎖部の導入を検討した。すなわち、この光学活性な9員環エノンに対して、低温下、アセトン誘導体とのマイケル付加反応を種々検討したところ、中程度の収率で望む立体配置を有するアルキル化体を得ることに成功した。次いで酸化等、数工程の官能基変換の後、パラホルムアルデヒドを作用させトランス閉環した2環性化合物の合成に成功した。また、上部側鎖部の合成は、メチルビニルケトンを出発物質とし、グリニャール反応等、5工程を経て対応するアルデヒド体を合成した。 現在、合成した光学活性なAB環部に対して脂肪酸側鎖の導入を種々検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度合成した光学活性な B 環部に対して上部側鎖構造部位を導入した後、A 環部の構築法を種々検討したが、望む閉環体を得ることはできなかった。そこで、B 環部に相当する光学活性な 9 員環エノンに対して先に A 環部の構築を行ったところ、望むトランス閉環した AB 環ユニットを得ることに成功した。また、上部構造部位である脂肪酸側鎖ユニットの合成に関しては、新たな合成ルートを設定しアルデヒド体まで合成を完了している。現在は、AB 環部に対して脂肪酸側鎖の導入法を種々検討しており、ほぼ予定通りに本研究課題は進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策に関しては、すでに光学活性な AB 環部および新規合成法による脂肪酸側鎖部の合成を達成しているので、全合成へ向けた準備は既にできている。 次年度は、AB 環と側鎖部のカッップリングおよび官能基変換を行うことで全合成を達成したいと考えている。さらに、本合成法を応用することでアステロラウリン類と類似した天然物である 9-デオキシイソキセオニド A、ブルミオリド A、B、9-デオキシ-7,8-エポキシキセオニド A、および 9-デオキシ-7,8-エポキシイソキセオニド A の合成に発展させることが可能であり、多くの抗がん活性を有する天然有機化合物を系統的に合成できると考えている。また、合成した天然化合物を生物系の研究者に提供することで、日本を起点とした新規抗がん剤の開発に寄与できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、オレゴン州立大学化学科 Rich G. Carter 教授の研究室に博士研究員として、1年間海外研修(留学)が決定している(平成25年4月~平成26年3月)。よって、平成25年度は、本研究費を使用せず、最終年度に補助事業期間延長承認を申請し、平成26年度の研究に使用する予定である。
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